13 屋上T


特に代り映えがしない一日。だからこその日常。
晄人は彼女ちゃんと昼食な昼休み。
俺は売店でサンドイッチやら総菜パン、コーヒー牛乳買って生徒会室へと向かっていた。
別に仕事するわけじゃない。
昨日は新作ゲームやりこんで睡眠不足なものだから誰もいないだろう生徒会室で昼寝でもしようかなーっていうだけのこと。
ポケットに手を突っ込んで廊下歩いていたら、ふと、足を止めた。
窓の向こうにある屋上が視界に入ったからだ。
あのヤンキーくん、藤代夾に出会った屋上。
夾は今日来てんのかな。
そう思って、あれ夾が今日とかダジャレ?、いや違う、なんてどうでもいいことを考えながら、俺は再び足を動かし始めた。
生徒会室へ―――じゃなくて屋上に。
鼻歌混じりに階段を上っていく。秘密の鍵で開けて重いドアをあければ眩しい日差しに目がくらんだ。
目を細めながら一歩踏み出して、
「来い来い」
と、誰もいない屋上でひとり呟きながらフェンスのほうへと歩いていった。
日影になっている部分に腰をおろしてガザガザと買ってきたパンを取り出し早速食べはじめた。
今日は気温がわりと高くてこの時期にしては結構暑い。
生徒会室のほうが過ごしやすいだろうってことは確かだけど―――たまには外でメシ食うのも悪くない。

「来い来い」

紙パックのコーヒー牛乳にストロー突き刺しながらぶつぶつ。
今日はたまたま運よく人気のゴージャスサンドが買えてよかったなあ、とボリュームたっぷりのカツとハム卵トマトにチーズそしてカツ、という男子生徒向けサンドイッチにかぶりついていたらガチャガチャと金属音。
それがなにかっていうと、それは鍵を開ける音で、次いでバンと力任せにドアが開けられた。
視界の中で早速とばかりに煙草を咥えて火をつけ、ポケットに片手を突っ込んでフェンスにもたれかかり、紫煙を吐きだす―――夾が映った。

「来た」

俺の呪いが効いたわ。
サンドイッチを食べ終えた俺は袋から総菜パンを取り出しながら呟いた。
と、その音に一瞬動きを止めた夾が俺のほうを見た。

「Buon giorno!」

いい天気だし、気分いいし、イタリア語の挨拶がぴったりか、と軽く手を上げて言ってみた。
夾ははっきりと眉を寄せると大きく舌打ちをして俺から目を逸らした。

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