第4話。俺は木藤昇。童貞で真性包茎だ。だがそれのなにが悪いというのだ。男たるもの大事なのは男根の形状ではない!断じて断じて俺は別に(略)


「実際そんな言うほどお前は粗チンじゃないよ。いじめてごめんな?」

三牧は確かめるように白井の股間を二度三度揉んでいるようだった。
声音は優しく、言われた白井は呆けたようにして小さく首を横に振る。

「大事なのはテクニック、だろ? ブツがでかけりゃいいってもんじゃない。粗チンだっててテクニックがあればカバーできる」

―――テクニック。
大事なのはテクニック。
心のメモ帳にひっそりと無意識のうちに書きこむ。
三牧への拘束はまったくなくなっていてみんなが三牧の行動を注視していた。

「なぁ、お前なんていうの、名前」
「えっ……白井」
「下は?」
「……哲也」

訝しげに白井が三牧を見ると、

「テツ、ヤってみる?」

そう三牧が顔を近づけた。

「へ!?」
「テツ、お前のテク見せてみろよ。お前がただの粗チン野郎かどうか確かめてやるよ」
「え、ええ?! む、むり! 無理だよ!!」

元は三牧を強姦するはずだったのに、白井は必死で首を振って床に座り込んでじりじりと後退りしている。

「なんでだよ。マワすつもりだったんだろ?」
「そ、そうだけど……っ、でも」

白井、お前のテクニックを見せてみろ!!! 三牧に見せてやれ!!!
と、言いたいところだが―――わかる。
白井お前の気持ちはわかるぞ……。
もし本当に"ただの粗チン野郎"だったらという恐怖。
三牧の巨大男根を前にそのレッテルを貼られるのは強靭な精神をも脆くしてしまう。

「なんでだよ。自信ないのか?」
「そ、そ、そんなわけねーだろ!! っ、ただ……」
「ただ?」
「……」
「テツ」

唇を噛みしめ俯いた白井に三牧が優しく呼びかけながら距離を縮めた。
そして三牧が白井を押し倒した。
押し倒し―――た!??

「え?! ちょ、なんだよ!??」
「それなら先に確かめてみるか?」
「……は?」

三牧が萎えているのに太い自身の男根を掴んで白井の股間に押し当てた。

「俺がただのデカチン男か、ちゃんとテクニックもあるヤツかって」

そして三牧が白井に覆いかぶさるようにし、囁いた。

「俺、結構自信あるぜ。教えてやるよ、めちゃくちゃ気持ちいいセックス」

とんでもなく、色気にまみれた声で。

「……」
「……」
「……」
「……」
「……きゅんっ」

はっ!!!
樋宮の心の声を現実に出した声に我に返った。
他の者たちもらしく、白井も一気に顔を真っ赤にさせる。

「や、むりむりむりっ!!!」
「なんでだよ」
「だって、むりっ、でかいしっ―――ひゃぁっ」

何事かと思えば、三牧が白井の耳を舐めたようだった。
白井はさらに顔を真っ赤にさせて目を潤ませて「ダメだって……!」と言ってるが。
その顔はAVでよく見かける『やめて、アッアッアーン』という感じの、いやよいやよもなんたらな。

「……テツ」

甘く囁く三牧の声に白井がギュッと目を閉じて、三牧がぐっと白井にのしかかった。
ごくり、と誰かの喉が、鳴った。

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