おまけ。非凡な俺様会長様の衝撃的体験。


「んんっ!!??」

いきなり割り込んできた舌に俺は目を見開いたのだった。


***


俺の心を奪って行った転入生のゆきさ。
そのルームメイトである平凡な三牧すぐる。
ゆきさがコイツにいつも構うから苛立って、ゆきさに近づくな、とコイツの部屋に来た。
殴って、殴って、そして恥ずかしい露出写真でも撮ってやろうとコイツの下半身を丸出しにしてやった。
そこまではいい。
だけど、平凡のくせに持っているブツは規格外。
洋モノレベルのありえねぇだろ、っていう巨根だった。
しかも使い込んでますって感じの赤黒く勃起してねぇのに血管が卑猥に浮き出た見るからにすげぇ一物。
見た目平凡のくせに――まさか経験豊富な奴だったなんて。
くっそ……巨根ならいいと思うなよ。
だいたいデカけりゃいいってもんじゃねぇんだよ。
俺は平均だ。

『……柏木様って意外にこっちは"普通"なんですねぇ』

昔ネコのやつにそう言われた苦い思い出が甦る。
普通でなにがワリィんだよ、クソ!!
小さいんじゃなくて、普通だろうが、ボケ!!!
あのときはなんとか俺様のテクニックで凌いだけど、普通っていわれたのがショック……いや、心外でそれ以来ほとんどヤってない。
もう1年くらいご無沙汰だ。
平凡すぐるの巨根を見ていたら悔しいやら羨ましいやら悔しいやら羨ましいやら悔しくて、固まってたら――俺のものを鷲掴みしてきた。
そこからの平凡すぐるはいつもの平凡とは違った。
あれか、実はいつもの平凡は仮面だったのか。
アッチの経験豊富さを見せつけてきてるのかさっきまで半べそになってたはずの平凡すぐるは俺の股間を掴んだままじりじりと詰め寄ってきた。
それに怯ん――じゃない、巨根だからって威張るんじゃねぇっていう想いをこめ腕を振り上げた。
それが、なんでこんなことになったんだ。

***

平凡の舌が俺の咥内を荒らしている。
歯列をなぞったり上顎をくすぐったり、咥内すべてが性感帯になってしまったかのように、舌が動くたびにぞくぞくと快感が身体を貫く。
ディープキスの経験なんてもちろんある。
アレは普通だけど、テクニックには自信あるんだよ!!!
の、はずなのに。
これは経験豊富さとの違いなのか、と屈服せざるを得ないくらい平凡すぐるのキスはうまかった。
俺は一方的に翻弄され、こんな平凡に、と思いながらも下半身に熱が集まってくるのをとめられなかった。
頭はぼーっとしてくるし、生き物のように俺を捉えて離さない舌はキスだけでイカせる気かってくらい情熱的で、まじでやばかった。
どろどろに溶けそうな気分でいたら舌を甘噛みしてすぐるがキスを終わらせた。
もの足りなさに追いかけそうになっていた俺に、すぐるが余裕の笑みを向けてきて、そこで俺は気づいた。
重なった身体。
俺のは反応してるのに、コイツは反応していない。

「会長。こんなので感じたんですか」

楽しげにからかうようにすぐるが俺を見つめて言う。
平凡のくせに、平凡のはずなのに、その表情は妖艶。
あれかこれが経験値の違いなのか。
巨根はすべてにおいて万能だというのか、クッソ!!!

「……っ、お前……みたいな百戦錬磨に俺の気持ちなんてわかるかー!!! クソボケヤリチンめー!!!」

俺は気づけばそう叫んで、すぐるの部屋を飛び出していた。
そして自室に戻って、治まっていない半身を泣く泣く自分の手で慰めたのだ。
あのキスを――思い出しながら。

平凡のくせに巨根で経験豊富なテクニシャンなんて、俺は認めねぇ!!!
いつか目にモノみせてやる、と打倒すぐるを決意しながら――。

俺はあのキスが忘れられず、すぐるを見ると勝手に半身が反応しかけて打倒もなにもすぐるの顔を見ることができなくなっていたのだった。

――恐るべし、巨根!!!


【おまけ:おわり】

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