お返しにご注意を!O


「……っ」

唇を噛み締めて抜けていく感覚に耐える。
智紀は短いストロークで押し付けてくるだけだったからまだマシだったけど、こうしてギリギリまで引き抜くと違和感どころじゃない。
息さえも震えてしまいそうになるのを押さえながらまた腰を下ろした。
どうしても眉が寄ってしまう。
それでも最初に挿れたときよりもだいぶなじんではいるのかローションのおかげか滑りはいい。
吸い込んだ息を細く吐き出しながら何度も出し入れを繰り返す。
内臓を引きずりだされるような感覚とすべてが埋め尽くされるような圧迫感が交互に襲って結局吐息は震えてしまっていた。
男二人を乗せたソファは俺が動くたびに軋む音を立てる。

「……く……ッ」

声をかみ殺し必死に腰を動かす。
智紀の手は俺の半身を握ってはいるけどさっきほどは動いていない。
視線は重なったままだ。
絶対に先に智紀をイカセてやる―――なんていう大人げなく挑発にのった自分の馬鹿さは承知のうえだ。

「……は」

自分の呼吸音や結合部から響くローションの音が耳についてうるさい。
それにしてもこれ本当に気持ち良くなるのかな?
受け入れるのは初めてだし、最初から早々感じれるわけないのかもしれない。
いやでもさっき智紀の指では……。
前立腺ってどこだっただろう。
スムーズに律動もできるようになってきて違和感も多少薄れてきたからか俺はふと浮かんだ考えに自分の中を探るように腰を落とした。

「……――ッぁ」

どうやらビンゴらしい。
びりびりと刺激が身体を突きぬけて声が上がりそうになり寸前で押しとどめた。
前立腺はやっぱり気持ちいい。
そうなってしまえばソコにあたるように動いてしまうのはしょうがないと思う。
だけど激しくするのは不安だったから様子を見ながら動いていたけど結局はどんどんと律動のペースが上がっていってしまう。

「っん……っは」

挿入とは違う快感。
これは確かに―――ヤバいかもしれない。
いや、でも。

「優斗」
「――なに」

いつのまにか自分の世界に入り込んでいたらしい俺はすでに智紀を見ていなくて、呼びかけられて再び目があった。

「……え」

どうしたんだ、と言おうとした。
ついさっきまでは笑みを浮かべていたはずなのにいまは笑ってはいるけれどやけに目がぎらついているというか。

「煽りすぎ」

短い言葉とともに腕を掴まれる。
引っ張らりながら智紀が身体を起こし、そして体制は逆転。
また俺がソファに沈められた。

「智紀、俺が動くって言っ――」
「余裕なくしたかったんだろ。俺の?」

俺を見下ろす智紀は爽やかさの欠片もない笑みを浮かべた。
そう。
智紀の余裕をなくして俺が主導権を握って先に智紀をイカセようとしていた。

「大成功だよ、ゆーと。こんだけ煽られたら余裕なんてなくなるよね。というわけで」

掴まれた俺の手。
その指先に唇が触れ、ぺろりと舐められたあと歯を立てられる。

「ご希望通り激しく頑張るね?」
「……は?」

確かに余裕がなさそうな智紀に呆気にとられた一瞬後、そうじゃなくてさっさとイってほしいだけなんだけど、と思ったけれどそれより早く智紀は宣言通りに激しく動き出した。

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