お返しにご注意!L


優斗side―――



智紀は絶対にしつこい、と実感する。
ぐちゅぐちゅと出来ることなら聞きたくない水音が下肢のほうから響いていた。
その音を響かせているのは俺の後孔とそこにうまっている智紀の指がかき回すように動いているからだ。

「……ッ、く」

唇を噛み締めても出てしまう声。
容赦なく三本も指を突っ込まれて苦しいし違和感が激しい。
慣れない感触に眉根が寄ってしまう。

「さっきイったばっかりなのに、すごく濡れてるね」

眉根を寄せているのに、俺を笑顔で見下してくる智紀。
思わずにらみ返すけれど威力はきっとない。
認めたくないけれど、確かに俺の半身は智紀の手の中で硬さを取り戻している上に先走りを溢れさせているのだから。

「……っ……う、るさい……ってば……ッふ、ぁッ」

流されてしまっているのは確かだけれど、こんなあり得ない格好させられて今から突っ込まれるっていうのに素直になれるはずがない。
というより気持ちいいなんて口が裂けても言いたくない。
乱れそうになる呼吸の合間に小さく悪態をつけば、意地悪そうに目を細めた智紀が鈴口を指先でひっかき、同時に前立腺を擦りあげてきた。

「ン……、う……っ、ぁ」

強烈な刺激に腰から頭の先へと快感が走り抜ける。
智紀をまたにらもうとしたけど、生理的な涙が浮かぶのを感じて目を腕で覆う。
ああ、もう何なんだこの男は。
智紀がモテるだろうってことも、女性経験でなく男性経験も豊富だろうことはわかっていたけど―――なんだかムカつく。
うまいのは認めてもいいけれど、本当にしつこくてきっと我を忘れるくらいに乱されそうな感じがあって、嫌だ。

「……っ、も、いいから……挿れろよ……っ」

セックスなんだから気持ちよくなったが勝ちなんだろうけれど、これ以上智紀にいいようにされるのは勘弁してほしい。
なにがイヤかと言えば、余裕の顔で俺を見つめていることだ。
もとより視姦。
俺の反応を楽しそうに見下ろしてるのがイヤだ。
一度欲を吐きだしてしまっているからか擦りあっていたときには少し乱れていた顔も元に戻り余裕の顔で俺に触れてきていた。
それはもちろん眼差しは色欲に濡れてはいるけれど―――。


「でも初めてだしね、もうちょっと慣らし――」
「とも、き」

相変わらず前と後ろ同時に送られる快感に耐えながら手を伸ばし手をかけたのはソファの背もたれ。
ぐっと力を込めて半身を起した。

「指抜いて」
「なんで?」
「いいから」

荒い息のまま短く言えば、「はいはい」と苦笑した智紀が俺の中から指を引き抜いた。
三本もうまっていたせいで、一気に解放された後孔がひくつき内部からローションが太腿を伝い流れる感触がした。
喪失感と何とも言えない感覚に背筋がわずかに震えながら俺は智紀の胸元を押すとソファに押し倒した。

「なに、優斗」

好奇の入り混じった眼差しが俺を見上げる。
とりあえず一旦解放されたんだから今ここで逃げればよかったんだろう。
まさか逃げる俺を無理やり犯す、なんてことをさすがにしないだろうし。
なのに俺はこのイレギュラーな状況にすでに頭のネジが飛んでしまっていたのか、あとで後悔する(いやもうすでに後悔はしているけれど)ような行動を取ってしまった。

「挿れてっていっただろ……? も、指じゃ物足りない」

嘘、だけど。
指三本できついし苦しいし、気持ちよかったけど多少痛かったし。
物足りない、なんて嘘だけど。
同じ男の、しかも親友にやられっぱなしなんていうのは俺のプライドが許さずに―――。

「……ッ、んん」

じっと見つめる智紀の視線を感じながら俺は智紀の上に乗って、自らその半身を掴むと自分の後孔に宛がってゆっくりと腰を沈めていった。

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