お返しにご注意!J


解放感を味わいながら、同時に湧き上がる後悔に額に腕を乗せため息をつく。

「……っ」

だけれどまた快感が襲ってきて眉を寄せた。
とっくに全部吐き出したはずなのに、俺のはまだ智紀の咥内に含まれたままだ。
残滓を吸い上げるように舌先が鈴口を舐め、吸い上げて絡みついてくる。

「……智紀、しつこい」

いったいどこの風俗嬢だ、AV女優だ、と言いたくなってしまう。
明らかに慣れ過ぎて、そして上手すぎる。

「飲むな」

挙句に精液を顔色変えずに飲むなんて……どうなんだ。

「御馳走さま」

ようやく顔を離した智紀は平然と笑う。

「お腹壊してもしらないからな」
「へーきへーき。壊したことないから」
「……」

もうなんだか何も言う気が起きない。
呆れを隠すことない目を向ければ、満面の笑みを返される。

「じゃあそろそろ本番イク?」

ぐ、と俺の膝を折り曲げながら体重をかけ覆いかぶさってくる智紀。

「いやだ」
「ここまでシて、いやもなにもないだろ? 優斗」

放っておいてくれていいのに片手で俺の萎えてしまったものを握り、もう片方の手でポケットを探っている様子が目に映った。
嫌な予感がして眉間のしわを強めて見ていれば、おもむろに小さなチューブを取りだした。
それを器用に俺の目の前でこれ見よがしに口で開ける。
蓋はそのまま無造作に床に落とされ、これまた片手で器用に指先に中身を出していた。
透明なジェルのようなそれがなんなのか。

「……俺イヤだって言ってるんだけど」
「俺はシたいって言ってるんだけど」
「無理やりは犯罪だぞ」
「だからー、ここまでシておいていまさら、だろ?」

笑みにほんの少し黒いものが混じり、他人が触れたことのない場所に――俺だって早々触れたりしないところに、濡れた指が触れてきた。

「……っ」

後孔をなぞるように確かめるように指の腹が押し、臀部を揉んでくる。
睨めば、目を細められ、指先をほんの少し沈められた。

「ちょ……ッ、ん」

周到に用意されていたおそらくローションを絡めた指が挿ってくるのが生々しくわかる。
圧迫感に大きく息を吐き出す。

「痛い?」
「痛い」
「嘘だろ」
「苦しい」

正直確かに痛みはなく、どちらかというと圧迫感が強くて苦しかった。

「優しくするからさ。ね? 俺にゆーと頂戴」
「……」

本当に智紀はバカじゃないのか。
なんで俺なんだろう。
友達だから、逆に?
ああ、もう苦しいっていってるのになんで指を進めてくるのか。

「……智紀」
「なーに」
「痛い」
「優しくするねー」
「……」

もう本当に、きっと多分何を言っても無駄。
そしてとりあえず抜けば逃げ道見つかるかもなんて安易なことを考えた自分の愚かさに呆れ。
なんだかすべてが面倒くさくなってきた。

「痛かったら怒るから」
「善処します」

ああ、もう本当に―――。

「……っ、く」

苦しさに顔を歪めてるのが見えてるだろうに、智紀は相変わらず笑顔のまま俺の顔にキスを落とし―――男でも感じれる場所を、容易く見つけて容易く俺に快感を送りだしてきた。


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