お返しにご注意!F
side優斗―――――
指先を噛んで舐められる。
それだけの行動を、どうして智紀はエロくできるんだろう。
ある意味尊敬の念さえ覚えながら手を引くけど、離してもらえない。
「智紀」
もう本当にどうする?
脇腹をくすぐられて肉体的にも疲労感が増して、考えるもバカらしくなってきている。
ため息混じりに呼びかけると、なに、と智紀は首を傾げ目を眇める。
「一旦退けてくれないか」
じっと見つめて言ってみた。
きっと"無理"だとか"いや"だとか拒否されるんだろうな。
智紀も俺と同じように俺を見つめるとしばらくして、
「いいよ」
と予想に反してあっさり身体を起こすと少しだけ後退した。
完璧に退けたわけじゃない。
けど上半身は起こすことはできて、智紀と向き合う。
「……もういいのか?」
諦めたわけはないだろうなと思うけれど念のために訊いてみたら、わざとらしいくらいに恭しく手を持ち上げられ手の甲にキスされる。
「まさか。優斗がなにしてくれるのかなーって期待してるんだけど?」
「……」
本当に智紀は―――。
もう一体何度目だろうため息をつきながら智紀の手をはずすと、ズボンに触れる。
すでに窮屈そうになっているそこを眺めながらベルトを緩めて前をくつろがせて―――深く息を吸い込んで吐き出すのはため息で、手を差し込むと硬く勃ちあがった智紀の半身を取りだした。
「……なんでこんなガチガチ……?」
俺の行動を楽しむかのように口元を緩ませたまま見ている智紀に視線を向けると、
「だから興奮してるからだろ?」
悪びれもなく返してくる。
「あっそう」
ため息をつくのも疲れて、完勃ちしている智紀のを握りこむと上下に動かし始めた。
……まさか親友のモノを扱く日がくるなんて思いもよらなかった。
正直今の俺のこの行動が正解かはわからないけど、先手必勝。
興奮しているというのなら、さっさとイカセてしまえばいい。
一回抜けば智紀のムラムラとやらも落ち着くかもしれない―――と、イチかバチかの賭けに出てみたのだ。
やたらと熱いソレは血管を浮かび上がらせている。
硬くて太いソレをできるだけ快感を多く送れるように強弱をつけながら擦りあげる。
「……」
掌から伝わる脈動と硬さにほんの少しだけ不安になった。
「優斗」
じっと見下ろしていた俺にかかった呼びかけに、顔を上げるとすぐに唇を塞がれた。
ねっとりと入り込んできた舌。
同時に熱い息も入り込んできて、涼しい顔をしてはいるけどちゃんと感じていることにほっとする。
……いや、ホッとするのは早くイカセて終わらせたいからだ。
それだけ―――なんだけど、じわじわと先走りをしたたらせ俺が擦るたびに質量を増す智紀のものに……なんていうか―――。
「……っ」
キスしたまま、俺の股間に手が触れてきた。
逃げようとしたけど、俺の手は智紀のを上下するのを止められず、ズボン越しに撫でてくる指に、じわじわと疼きともどかしさが広がっていく。
「―――……俺の擦って、ゆーとも興奮した?」
さっきより硬くなってきてる、と忍び笑いが俺の耳元でこぼれた。
「……気のせい」
そうは言ってみるけど失敗だったかもしれない、なんて早々と思い始めている俺が確かにいて。
ベルトを外しジッパーを下ろす音を聞きながら、その動きを阻止することはしなかった。
そして智紀のと同じように俺のも窮屈なところから解放され、そして掌に包みこまれる。
「一緒にシようか」
ぺろり、と耳孔を舐めながら智紀が言って、互いの性器を触れ合わせてきた。
―――やっぱり失敗した。
俺の家だけど、出ていくとか逃げればよかった。
そんなことをいまさら思っても後の祭り。
熱いモノが触れて重なって、まとめて扱かれて。
「っ……」
身体を走り抜ける強烈な刺激に俺だってずいぶんとご無沙汰なんだってことを認識してしまい―――イカセるためだけじゃなく俺自身も快楽を得るために手を動かし始めてしまっていた。
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