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その3


「そういうことでしたか、準竜師から『航空自衛軍から人が行くから話を聞け』と指示はありましたが……」
 ずり落ちた眼鏡を直しながら善行が言った。かなり途方もない話だとは思っているが口には出さない。
「ま、そういうこった。熊本航空隊の全軍……てワケじゃねえがね、しかし、おたくの準竜師――芝村なんだって?――も、自分とこの小隊を囮にしようなんざいい度胸をしてると言うか……」
 そういいながら彼――田中靖男(たなか やすお)技術中佐は苦笑する。
 善行も苦笑せざるを得ない。準竜師にとって見れば一番使いやすい駒が自分たちだからそうした、その程度のものだろう。
 5121小隊に対空装備を与え、航空自衛軍の支援のもと(実際には囮となって)ファントム・ファイターの撃滅をはかる――それが田中から聞かされた準竜師のプランだと言う。
「しかし、こんな事を言っては失礼ですが、たかが1個小隊を支援する事をよく航空自衛軍が承知しましたね?」
 善行が当然の疑問を口にする。
「まあ、種を明かせばウチの基地司令とおたくの準竜師が知り合いらしくってな。そこんとこの話は問題なかったそうだ。結構仲がいいみたいなことを言ってたぜ?」
 準竜師と、仲がいい?
 どうやって準竜師と友達づきあいをしているのか興味がなくもなかったが、善行はとりあえず任務の方を優先させることにした。
「それにしても……」
「もちろんそれだけじゃねえ。学兵の部隊の中で最も戦果を上げ、最も実践慣れしてるのがあんたん所だったというわけさ」
「なるほど。しかし航空機の方はどうなんです? 他にも必要な所は多いでしょう?」
「まあな。ほんとは陸自の支援に回そうって話があったんだがな。陸自の方からぜひ5121小隊につけてやってくれって話があったんだとさ」
「?」
 善行が首を捻る。陸自がわざわざそんな事を言うとは……? むしろ自分たちのほうが支援が必要な状況だろうに。
「第8師団第42機械化歩兵連隊第2大隊」
「!?」
「そこの大隊長の倉本中佐ってのが強行に主張したんだとさ。まあ、師団全体がそういう雰囲気だったって話だがな。なんでもかつての恩返しだって言ってたそうだが」
「倉本中佐が……」
 田中の口から出てきた名前は意外ではあったが納得できた。
 かつて、5121小隊は援軍として彼らと共に戦った事がある。そのときの大隊長が倉本中佐だった。そう言えばあの時は初めての空自の航空支援があったんだっけ……。
「今来てるパイロットのうち2人はそん時飛んだ奴さ。今回も支援にまわる。よろしくしてやってくれ」
 まるで善行の考えを読んだかのように田中が言った。どこか面白がっているようでもある。
「じゃ、話はここまでだ。早速準備に入りたい。そっちの整備と話をした後早速始めるつもりだから、ま、よろしく頼むわ」
「分かりました。こちらこそよろしくお願い致します」
 善行は手を差し出した。田中もそれを受けてがっちりと手を握り返す。
 ここに、航空自衛軍と生徒会連合の史上初の共同作戦が開始されたのであった。

   ***

「まったく、あの者は一体何なのだ!!」
 舞は怒り心頭といった感じだった。先ほど田中に「嬢ちゃん」と言われたのが相当頭に来ているらしい。
「ま、舞、落ちついて……」
「これが落ちついていられるか、厚志! そなたは私が馬鹿にされておるのを何とも感じないと言うのか!?」
「いや別に馬鹿にしていたわけじゃないと思うんだけど……」
 もちろん速水の言うことなぞ舞の耳には入っていない。
「パイロットにしてもそうだ、一体ここをなんだと思っておるのだ、まったく……」
「ウチのもんがどうかしたかい?」
 突然田中に背後から声をかけられ、舞は文字どおり飛びあがると同時に身構えた。
「おいおい、そう構えんでくれよ」
 田中が苦笑する。舞はまだ戦闘態勢を解こうとはしない。
「……ひょっとしてさっき『嬢ちゃん』て呼んだのを怒ってんのか? だったら謝る。すまねえな。名前があるならちゃんと呼ばなきゃいかんよな」
 舞はきょとんとした。内心には驚きがある。こうまで素直に謝られるとは思っていなかったらしい。少ししてどことなくばつが悪そうに言った。
「う、うむ。分かってもらえればそれでいい。私は……」
「芝村の末姫、舞さんだったな。さっき隊長さんに聞いたよ。よろしくな」
 そういって手を差し出す。
 舞は更に驚いた。速水を除いては芝村に対してそんなにあっけらかんと接してくるものなどいなかったのだから当然かもしれない。しばらく躊躇していたが、やがておずおずとその手を握り返した。
「ところであんた、速水君って言ったか? ウチの連中、どこ行ったか知らねえか?」
「えーと、整備員の方は下準備があるとかでハンガーの方に移動されました。確かハウザーという方が……」
「ああ、ハウザーが連れてったんなら問題ねえな。で、パイロットどもは?」
「それが……」
 そう言いながら速水はちょっと困ったように笑った。舞もどことなく憮然とした表情をしている。
「?」
 田中が不思議そうな顔をしていると、向こうからパイロットが2人、所在なさげにやってきた。
「おう、ユキにタカ、どこ言ってたんだお前ら?」
 ユキと呼ばれたパイロット、高村雪之丞(たかむら ゆきのじょう)大尉は、その顔立ちと今ひとつ押しの弱い言動から「熊本航空隊一の優男」の異名を奉られているが、今はその整った顔立ちに苦笑と困惑を貼りつけていた。一緒にいた吉沢隆明(よしざわ たかあき)中尉もどうしたらいいものかと悩んでいる様子だ。
「あ、おやっさん! 実は……」
 田中はそこまででピンと来たらしい。
「またレイとリョウか? しょうがねえな……。おいユキ、案内しな」
「は、はい……」
 高村は吉沢と「仕方がない」というように顔を見合わせると食堂兼調理室の方へと歩いていった。田中もやれやれといった感じで後についていく。
 後には速水と舞だけが残された。
「……どうしようか、舞?」
「仕方あるまい、あの者に任せた方がいいやもしれんからな。我らも行くぞ、厚志」
 と、結局その後についていったのだった。

   ***

「……でさ、そん時に先任がな……」
「おい瀬崎、それはいいっこなしって言ったろうが!」
 どっと笑い崩れる一同。
 食堂兼調理室では、何とものどかに談笑が行なわれていた。手元には誰が淹れたのかご丁寧にもお茶まで置かれている。周りにいるのは近くにいたらしい5121小隊の女性数名。中心にいるのはパイロットの瀬崎零次(せざき れいじ)少佐と佐藤亮二(さとう りょうじ)少佐。
 精悍な風貌の瀬崎にせよ、パイロットよりスカウトになった方がいいんじゃないかという筋骨隆々とした佐藤にせよ、空に上がれば並ぶものなきファイター・パイロットなのだが、地上にいるとよく言って「浮気者」と「お調子者」でしかない。この2人が揃うとどうなるかと言うと……。
 今みたいに女性集めて、談笑なぞ始めちゃったりするわけである。
 まあ、普段みたいに片っ端からコナかけるよりはマシかもしれないが。
 しかし、加藤やヨーコあたりはともかく、田辺や森や石津など一体どうやって誘い込んだのだろうか? 大したものなのかもしれない。
 いかにも楽しそうな2人であったが、楽しいことにはいつか終わりがやってくる。最初にそれに気がついたのは佐藤の方だった。
「それでさ……」
 話を続けようとして、女性の視線が入り口の方に逸れたのに気がついた佐藤は何気なく振り返り――そのまま硬直してしまった。
 それに気づかず話を続けていた瀬崎も、周りがしんとなってしまったので不審に思って振り返り――やはり硬直してしまう。
「……ずいぶんとお楽しみのようじゃねえか、え?」
 ゆっくりと田中が入ってきた。声がめちゃくちゃ重い。後ろからは高村と吉沢がすまなそうに覗き込んでいる。
 2人はというと脂汗をだらだらと流していた。
「油売ってるひまなんざねえんだ。さっさと仕事にかかんな」
 田中の声はあくまでも静かだったが、ここでうっかり反論でもしようものなら後でどうなるか経験でよく分かっている。
「というわけでな、悪いけどこの2人を借りてくぜ。」
 という田中の声に一同こくこくとうなずくのみ。それに微笑みながら、
「行くぞ、お前ら」
 と言うと、
「はっ!!」特別演習でもこうはいくまいと言う気合の入った返事と敬礼と共に脱兎のごとく飛び出していった。
 田中は瀬崎が傍らを通り過ぎていこうとしたときに呟いた。
「葵さんに言っちまうぞ、この女たらし」
 瀬崎はさらに硬直した。
 ちなみに葵とは瀬崎の恋人の名前である。

   ***

「ふぃー、参った参った」
 頭を掻きながら瀬崎が呟く。田中の説教からようやく開放されたばかりだ。
「しょうがないだろ、お前が調子に乗りすぎたんだから」
「そこでしれっと他人事みたいに言わんで下さい! 先任も共犯なんだから!」
 佐藤は瀬崎のそんな叫びなどどこ吹く風といった具合だ。
『……あのー、すみませんが』
 高村と吉沢が恐る恐るといった具合で声をかける。
『ん?』
「学兵のパイロット達がさっきからお待ちかねなんですけど」
 確かに2人の後ろには速水たち3人が並んでいた。
 さすがにふざけてばかりいるのもまずいと思ったのか、ちょっと真面目な顔になって向き直る。速水たちが一斉に敬礼した。
「5121小隊3番機パイロット、速水千翼長です。こちらは1番機パイロット、壬生屋百翼長」
「壬生屋です。よろしくお願いいたいます」
「それと、3番機ガンナー、芝村千翼長です」
「舞だ。芝村をやっておる。好きに呼ぶがよい」
 三者三様の挨拶に瀬崎は思わず苦笑した。佐藤は片眉を上げただけだが口許にかすかに笑みがある。高村と吉沢も「まあこんなもんか」と納得している様子だった。
「瀬崎だ。瀬崎少佐。熊本航空隊の第1中隊長及び第1小隊長をやってる。こっちは佐藤少佐。第2小隊長だ。あとは第1小隊2番機の高村大尉と第2小隊2番機の吉沢中尉」
『よろしく』高村と吉沢が揃って敬礼する。
「ま、よろしく……ん? どうした速水千翼長、何か?」
 速水が不思議そうな表情をしているのに気がついた瀬崎は声をかけてみた。
「あ、速水で結構です。その、なんかちょっと半端な編成だな、と思いまして……」
「きついところを突っついてくれるな。まあ、これでも1個中隊揃い踏みなんだ、勘弁してくれよ」
『……は?』
 思わず3人揃って間抜けな声を発してしまう。目の前にはどう見ても4名――せいぜい1個小隊といったところだ。
 航空自衛軍では航空機2機で分隊、2個分隊で小隊(4機)、3個小隊で中隊(12機)を編成するのが普通なのだが……。
 速水達の視線を受けて、今度は佐藤少佐が話し出す。
「残念だが、これが第1中隊の全員さ。俺も本当は第2中隊長をやってるんだが、頭数が揃わなくてな。今は臨時に1中隊に入ってるんだ。基地全体でも動けるのはせいぜい10数機だし、他のところにも出張らなきゃならんしな……」
 本来なら熊本航空隊は書類上でこそ定数40機(補用4機)なのだが、もともと九州各地の敗残部隊や義勇兵の寄せ集めであり、機体なども不足気味であった。これで完璧に編成できると思う方がどうかしている。
 現在、望み薄ではあるが増援要請はしており、そのときに備えて基幹要員だけでも即応体制に置いておこうというのがこの臨時編成のねらいであった。
「はあ……そうなんですか。とにかくよろしくお願いいたします」
「そんなのはいいさ。苦労するのは間違いなくお前さんたちの方だしな。司令から何も聞いていないのか?」
 3人とも首を振る。
「じゃあ、ちょうどいい。今ごろ田中のおやっさんが準備を始めている頃だ。見ながら話をしたほうが分かりやすいだろう、行くぞ!」
 そういうと瀬崎はさっさとハンガーの方へと歩き出してしまった。なにやら不安がないでもないが、とりあえず後についていくことにした。

   ***

「3番のチューブを外せ! そっとだぞ!」
「神経系統、ガトリング砲の点火回路への接続準備、完了!」
「1番機、腰部弾倉固定金具装着完了。いつでもどうぞ!」
 士魂号が収められているハンガーは大騒ぎだった。もとから整備の時にはやかましいものだが、今回はそれに加えて10名近くの人間が加わっている。彼ら――空自の整備班の中に立ち混じって5121小隊整備班の面々も汗みずくになって働いている。
「小隊整備班は各機の外部装甲の確認開始。急いで! ――ハウザーさん、そちらは?」
 原が指示を出しながら振り向いた。
「いま、ガトリング砲と弾倉の最終調整を行なっています。あと15分もあれば完了するでしょう」
 答えたのは彫りの深い顔立ちと金髪の、いかにもゲルマン系といった30代男性だった。
 カスパール・ハウザー技術中尉。生粋のドイツ人だが日本暮らしが長いために日本語も流暢なものだ。
 もともとドイツは現在国を挙げて幻獣共生派となっているために、人類残存領域におけるドイツ人の立場はあまり高いものではない。ハウザーの両親は反幻獣派だったために、いわゆる「共生派革命」から逃れて日本にやってきたのだが、やってきた当初はいろいろといわれのない迫害も受けたようだ。
 ハウザー自身もそういったことがあったのかもしれないが、普段の彼はそんなことを感じさせなかった。
「士魂号への対空レーダーの増設はそちらでお願いします。そのあたりは『餅は餅屋』というやつで」
 笑いながらハウザーが言うと、原も苦笑しながら答える。
「ええ、レーダーといっても部品の追加だけだからそんなに問題はないですけどね。しかし驚いたわ。皆さんが全員特殊整備資格をお持ちだったとは……」
 特殊整備資格。
 平たく言えば国家機密レベルの装備についての整備ができる資格である。たとえば今回の士魂号のようなモノに一般の人間がうかつに近づいたらどうなるか、を考えてみればよい。
 空自の整備員が陸戦兵器に手を出すのも変な話だが、今回の装備の大半がもともと空自のものである関係上そうなっている。だから、実際に装着する際の微妙な所は、5121小隊のメンバーが中心となって行なっている。
「まあ、装備も人員も混成の飛行隊なんて実験にうってつけなんでしょう。いろいろとその手の怪しげなモノにも手を出さなきゃならないわけで」
「なるほど、でも、戦車技能までお持ちなのはどうしてなんですか?」
「ああ、それはですね……」
「ハウザー、余計なことをしゃべくってんじゃねえ」
「!!」
 ハウザーが驚いて振り返ると、そこには田中が立っていた。
「おやっさん、ああ、すいません、その……」
「いいから、ガトリング砲の整備が終わったみてえだぞ。他にもいろいろあんだからさっさとやってこい!」
「Ja!!」
 慌てて駆け出していくハウザー。
「全く、あいつもおしゃべりが過ぎなきゃ完璧なんだがな……、で、戦車技能の話だったか?」
「え、ええ……」
 原がどうしたものかと迷っていると、田中があっさりと答える。
「簡単なこった。あいつらは戦車乗りでもあるからな」
「!?」
「あいつらは基地防衛戦車隊の隊員でもあるのさ。ま、乗ってるのは旧式の61式だがな」
 熊本空港には万が一に備えて独自の戦車小隊を配備している。いわゆる「奇襲型」の幻獣に対するもので、とりあえずの時間稼ぎをしようというものである。
 あくまで独自なので、装備も保管車両になっていた61式をあれこれいじくったものを勝手に使っているのだが、「自分達の基地は自分で守る」という意識を明確にあらわしたものとも言える。
 後に、九州撤退のさなか、熊本空港防衛戦において彼らは壮絶な戦闘を展開することになるが……、それはまた別の話である。
 ちょうどその時、瀬崎が皆を連れてハンガーの中に入ってきた。
「おやっさん」
「おう、どうしたい?」
「ちょっと学兵のパイロット達に今回の改造の説明をしてやろうと思いましてね。今入っても大丈夫っすかね?」
「そうさな……、ま、いいだろ。そろそろ取り付けも始まる頃だしな。邪魔すんじゃねえぞ」
「了解っと。んじゃ、いこうか」

   ***

「ほれ、これが改造された1番機(でいいんだよな?)の『防空仕様』だ」
 瀬崎が指差した先には、いつもの見慣れた士魂号が立っていた。
 しかし、その右腕には巨大な円筒状の物体が張り付いているし、左手にはなにやら盾のようなものが付いている。さらには腰というか背中には巨大なコンテナが装着されている。
「こ、これは!?」
 驚いたのは壬生屋である。
「右腕につけたのは、本来は航空機用の豊和84式20mmガトリング機関砲だ。俺達の麗風にくっついてるのと同じ奴だな(予備機から外した)」
「麗風?」
「あ、俺達の戦闘機さ。有効射程は1200mってところか。まあ、そんな距離じゃまず当たらんが」
「なんか、ジャイアントアサルトに似てますね……」
「そうだな、だが最大の違いは発射速度だろう。なにせこっちは毎分6000発だからな」
『6000発!?』
 速水たちの声がきれいにハモる。
 ジャイアントアサルトは、いわゆるリボルバーカノンと呼ばれる薬室回転型の機関砲で、発射速度はせいぜい毎分180発というところだ。その30倍以上だというのだから驚くのも無理はない。ジャイアントアサルトの弾倉など1秒とかからずに撃ち尽くしてしまう。
「まあ、もし10秒も連射したらまず間違いなく銃身が焼きつくがね。最大連射時間は2秒ってトコだな。連射時間は0.5秒、1秒、2秒の選択式。弾は航空機用の弾倉を改良して最大2500発搭載可能って事だ」
「……」
 一同、あまりの事に声もないらしい。
「すると、この左手の盾は……?」
 ようやく気を取り直したらしい壬生屋が訊ねると、
「コイツは盾じゃない。対空ミサイルのランチャーさ。元々航空機用のパイロン用のがそのままくっつけてるけど、一応3発搭載できる。まあ、うかつに振り回したりするなよ。ミサイルがどこ飛んでくか分からないし、信管は生きてるんだからな」
 という答えが返ってきた。
 自爆してはたまらないので、一同素直に頷く。
「2番機も同じように改造される予定だが……、おい、そういや2番機のパイロットは誰なんだ? さっきから姿が見えんが」
 瀬崎の問いに、速水たちは力なく首を振るだけだった。やがて舞が気の進まぬ様子で話し始める。
「2番機のパイロットは、だな……その、負傷のため、治療を受けているのだ。だから気にせんでもよい」
「? そんなんでこいつに乗れるのか?」
「あ、明日には復帰しますから、その、今日の所は気にしないで下さい……」
「???」
 疑問だらけといった感じの瀬崎と佐藤だが、彼らの表情から、とりあえず深く突っ込むのはやめにした。
「そ、それで1、2番機はそれでいいとして、僕達の3番機はどうなるんですか?」
 露骨に話題を切り替えようというのか、速水があせった口調で質問してくる。瀬崎達はとりあえずそれに付き合うことにした。
「そうだったな。3番機はここで作業が出来ないんで、裏手で作業してるそうだ。じゃ、行くか」
(つづく)


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