03


「なまえー」

『あら幸村。どうしたの?』

朝、靴箱で上履きに履き替えていると我らが立海大附属の誇るテニス部の部長さんに声をかけられた。

「突然なんだけど、今日お昼一緒に食べない?」

『本当突然だこと。なんでいきなり?』

「ちっさくて三つ編みあわあわ少女に会いたくないかい?」

『どこに行けばいい』

「うわ、食いついたーふふふ」

幸村の差し出した腕をがっつり掴んだらすごい笑われた。


「じゃあ、お昼休みに屋上においで」

『わかったわ、三つ編みあわあわ少女を持ってくるだなんて。どストライクゾーンだわ』

「ふふふ」


幸村は私が隠してる部分を知ってる数少ない知り合い。

この人黒属性だから人の心を読むから知らない間にバレてた。


「あ、なまえに幸村じゃねぇか。はよ」

『ジャッカルおはー』

「おはよう、ジャッカル。じゃ、そう言うことでね」

『了解した』

笑顔で手を振りながら幸村は教室に向かった。

「そう言うことって?」

『うふふふふふ』

「……?」

『教室行くわよ。荷物!』

「はぁ…なんでだよ」

ジャッカルに手提げ袋を渡して私も教室に向かう階段をのぼった。

そしてお昼休み。
学級委員な私は先生に呼ばれて10分くらい遅くなってしまった。


とりあえず、お弁当持って幸村との約束の場である屋上に向かった。

静かに戸を開け閉めしてとりあえず屋上についたけど……


こんなこと聞いてない。


「な、なんでなまえがいるんだ…?」

『いやこっちこそ聞きたいんだけど…』

ジャッカルはパンを私はお弁当を落とした。

そこには、ジャッカルとその他テニス部のレギュラー達がいらっしゃった。

もちろん、私の好きな柳くんも。


「あー、みょうじなまえ先輩じゃないっすか!」

「ほんとだ!どうしたんだよぃ」


もじゃもじゃくんとブン太が私に手を振る。

もじゃもじゃくんはよく知らないけどブン太はジャッカル繋がりで話したりお菓子食べたりしてるから知ってる。


「あ、来たね。こっちこっち」

『あ……………………うん』

手を振る幸村に多分かなりひきつった笑顔で手を振ってそっちにいく。

そして胸ぐらを掴んで幸村に小声で問い詰める。

『どうゆうことっすか、幸村部長さん』

「見ての通りみんなでお昼ご飯」

『聞いてないんっすけど!?』

「言ってないもん〜」

『この野郎』

ぐらぐら揺らせばきゃっきゃっとはしゃぐ幸村。
反省してねぇ、こいつ

「みょうじなまえ…」

『!』

その時、あの声が聞こえた。しかも私の名前……。

「まあ、落ち着いて弁当でも食べたらどうだ?昼休みも残り少ないぞ」

『あ、はい…』


返事をした瞬間、ぶっと何かが鼻から出た。

「あー!!」

『あ、ごめん』

ジャッカルの叫び声でそれが鼻血だと気がついた。

幸村は気がつけば避難していて私の鼻血が誰かの服を汚すことはなかった。

自分の制服以外は。


「なんで自分の服で押さえる!?」

『なんとなく…』

「ほら、ティッシュ!」

『いつもすまないね、ジャッカル』

急いでこっちにきたジャッカルからティッシュを手に入れた私は鼻にティッシュを詰めた。

駄目だ。近くで聞くとさらに素敵だった。


「あの…良かったらこのウェットティッシュ使って下さい」

横から可愛い声がしてそっちを見ると小さくて可愛い女の子がウェットティッシュを私に差し出していた。

幸村がその子の頭に顎をのせて抱きついてるのは気にしないでおこうか。

『ありがとう』

「いえ」

「それより早く拭かなきゃ顔血だらけだよ」

『まことに?』


そう幸村に言われて慌てて拭く。

「なまえ、この子が朝言ってた子だよ」

「はじめまして。黒柳奏です」

『私はみょうじなまえ。初対面でこんなんでごめんね』

「いえ、幸村部長に聞いてた通り素敵な方で…」

「本当だぜ」

ガッ

「い゛っ」

いらんことを言うジャッカルの足を踏みつけた。


「む」

「なんだか聞いていたのとキャラが違いますね」

「ぷり」

「そーか?」

「確かにちょっと違う気が」

「………………ふむ」

「いつもあんな感じだよー」

「ジャッカル先輩、大丈夫ですか?」


痛さに座り込むジャッカルを心配する奏ちゃん。


『うふふふふふ』

困った時は笑っとけ。それが我がみょうじ家の教訓だ。

「まあ、とにかくご飯食べなよ」

『そうね、ジャッカル』

「へいへい」


私はジャッカルとブン太の間に入れてもらいとりあえずご飯を食べ始めた。

今日が私と柳くんの初会話だったりした。
その直後が鼻血って最悪だわ!!





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