俺には幼なじみがいる。名前はみょうじなまえ。
家は俺の家から二軒隣の近所。
小学校からずっと一緒に遊んだりしてきた。
だから仲が良いし、これからもこのままがいいと思う。
立海に入学してからなまえは男子からすごい人気者になる。
去年の文化祭では美少女コンテストとかいうのがあってクラスの男子に勝手に応募されてしかも優勝してミス立海とかなんとかいうのに選ばれた。
3年になった今では男からも女からも好かれ憧れられてる。
文武両道で才色兼備、更に容顔美麗と新聞部には半年以上騒がれてた気がするが少し誉めすぎだと思う。
確かに授業を聞いてないわりに勉強が出来るし、運動もできる。
それだけ聞くと憧れるのだろう。
だが、
俺はこいつの裏の顔を知っている。
漫画やアニメ好きだし、ゲームとかが大好きだ。
特に歴史系アクションゲームとか。
俺はいつもレベル高い武器をゲットするためによくこき使われる。
慣れたけど。
学校では押さえているらしいから知っている奴はほとんどいない。
そんなこいつは今、恋をしているらしい。
相手は俺と同じ部活の柳蓮二。
立海大テニス部の参謀で幸村と真田と一緒に三強と呼ばれてる。
好きになった理由は、今はまってるゲームの一番好きなキャラ石田三成の声に似ているからだとか何とか。
しかも罵られたいと俺に語ってくる。
俺はどう答えればいいのか分からない。
「ハァ…」
「どうしたんですか?ジャッカル先輩」
「いや、ちょっとな…」
「悩み事ですか?私で良かったら聞きますよ」
笑顔で話しかけてきたのは今年入部した(というより幸村に無理矢理させられた)マネージャーの黒柳奏。
笑顔が可愛い、今では立海テニス部の癒し系マネージャーだ。
仁王のせいで男嫌いになったらしいが、テニス部の男子には慣れたらしい。
最初はすごく怖がられていたが…今では結構話しかけてくれる。
「本当か?助かる…だがこれは相談していいものかが……」
「あ、無理に言わなくていいですよ?」
「何をしてるんだい、ジャッカル?」
「きゃっ、幸村部長!?」
「別に何もしてねえよ」
奏と話していると幸村はやってくる。
理由はなんとなくわかるけど。
背後から抱きついて奏の頭に顎をのせて幸村は楽しそうだ。
「え、ジャッカル悩み事があるのかい?それは大変だ。部長として部員の悩み事解決には協力しないといけないな」
「ちょっと幸村部長!離してください」
「いや、いいよ。そんなに悩んでるものでもないし」
「……………………」
「そうなんですか?もし何かあったら言ってくださいね。ジャッカル先輩のドリンクです」
奏はそう言うとドリンクとタオルを渡してブン太と赤也の元に行った。
「俺、ジャッカルの悩み事分かっちゃった。幼なじみちゃんのことかな?」
「まあ、そんな感じだ」
「今度は何?」
「恋愛相談だ」
「へぇー」
幸村に隠したとしても心を読まれて終わりだ。
素直に話した方が長生きできる。
「いやー、それほどでも」
「誉めてないぞ」
「ふふふ」
幸村もそれだけ言うと微笑みながらコートの方に戻った。
「俺はいったいどう答えてやればいいんだろう」
俺のこの呟きは誰に聞かれるもなく、空へと消えていった。
prev next
bkm