好きなんです。
あの人が
大好きなんです、あの人のその声が
一度でいいからあの人のあの声で罵って欲しい!
『どうすれば…私はあの素敵な声に罵ってもらえる!?』
「…知らねーよ」
『ジャッカル冷たい、何でそんなに冷たいの?おでんの卵ももうちょい暖かいよ!?』
「意味わからねぇよ!?」
私の名前はみょうじなまえ。
立海大付属中学校3年I組の生徒だ。
只今私は同じクラスの幼なじみで腐れ縁のジャッカル桑原にお昼休みを利用して恋愛相談中。
でもこの幼なじみはちゃんと私の話を聞いてくれない。
「考えてみろよ、普通の恋愛相談ならまだ答えようと思うが罵られたいなんていう相談にどう答えろと」
『だってあの人の声がむちゃくちゃ戦国無双のあの…三成様の声にそっくりなんだもの!!』
「あーそうですか」
『三成様と言えばほらツンデレなためについ酷いこと言っちゃう可愛らしい方でしょう。だから私はあの人にならクズだのカスだの言われてもとても幸せなのよ。だから声がそっくりなあの人にもちょっと罵って欲しいの。わかる、この私の乙女ゴコロ!!』
「悪い、全然わからない」
『分かれよこのハゲ』
「ハゲじゃねぇよ俺はそってんだよ!」
ジャッカルは何か不機嫌そうに焼きそばパンを食べ始めた。
『でもそうよねぇ、やっぱし私はおかしいのかしら』
「てかお前は柳の声だけなのか?好きなの」
パンを食べながら急にこんなことを聞いてくる。
『……えっとそれは…そう言う訳じゃなくて』
「うん?」
『柳くんは声が素敵だし一番好きなのはそうなんだけど』
ジャッカルの試合を見に行ったときとかに柳くんの試合も見たことがあるし、かっこいいし素敵だし
『他のところも好きよ。でも私、学校ではあんたの前以外じゃ押さえてるけど…』
アニメ好きだし、ゲームとか大大大好きだし
カラオケ行ったらほとんどキャラソンだし、すぐ萌えとか言っちゃうし
何より
腐女子だし……
『私なんかが柳くんに告白なんかしても柳くんの時間の無駄だし。だからせめてあの素敵三成様ボイスに罵られたいのー!!』
「……………………」
『何よその顔?』
「なんでいつもは自信満々なのによ、恋愛になったらそんなに自虐的なのかと思ってよ。いつもみたく自信満々に行けば良いじゃねえか」
そうジャッカルが言った直後、予鈴がなった。
『あ……予鈴』
「ねみーのに、次数学か」
『え、やだなー。よしジャッカルノートよろしく』
「はぁ、やだよ」
『なまえは妄想に次の時間を捧げます』
「いや、ノートとれよ」
『やだー』
そんな会話をしながら私達は教室に帰った。
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bkm