02
昨日、テニス部の苦手な先輩からメールが来ました。
お姉ちゃんと楓先輩にも来ているというので変なメールじゃないってのはわかっているのですが…。
『何故私のアドレスを知っていたのでしょうか…』
それが一番心配なことです。
ちょっと怖いです。
「瑠依ちゃーん」
「おっはよう!」
ため息をはきうつむきながら通学路を歩いていると明るく元気な声が私を呼んだ。
振り返るとそこには譜月ちゃんと李月くんがにっこりと笑って立っていた。
『おはようございます』
二人は転校してからしばらくして長太郎くんを通して仲良くなった双子の兄妹。
いたずら大好きな二人にはいつもいたずらされてます。
「そういや、昨日のメール見た?」
『あ、はい。放課後テニス部の部室に、ですよね』
「一緒に行こうぜ」
『是非ともお願いします。長太郎くんとも行く約束をしたんです。みんなで行きましょう』
「「賛成!」」
李月くん、私、譜月ちゃんで並んで何でもない会話をして学校への歩く。
「「あ!」」
二人の声に前方を見ると、数十メートル先に日吉くんらしき後ろ姿が!!
「ほら、瑠依行くぞ」
『へ…!?』
「ほらほらー」
なんて思ってたら李月くんに背中をぽんっと押されて譜月ちゃんに手を引かれ走りだす。
『ななななんですかぁああ!?』
「日吉いるじゃん、やっぱりからかわなきゃ」
「なぁ!」
意地悪く双子の兄妹が笑うと、二人が私と腕を組む。
何だろう、暴れる人が連行されるような格好。
「「ひーよーしー!」」
「ああ、与一兄妹………か!?」
大きな声で二人が日吉くんを呼ぶ。気がついた日吉くんが振り返る………けど私を見た瞬間、すごく不機嫌な顔になる。
『え、え?』
すっごくにらんでる!?
何でだろうなんて考える暇もなく、足は進み日吉くんの目の前に到着する。
うぅ、鋭い視線が痛い。
『おお、おはよう…ございます』
「妬いてる、妬いてる」
「ふふふ」
「朝からくっついてるんだな。三列で歩くと道の邪魔になるぞ」
『ご、ごめんなさい!』
「大丈夫だよ、ほらこうやってぇ」
「ぎゅーってしたらな!」
そう言って二人がぎゅーっと両脇から私を抱きしめて密着する。
『く、くるし…』
「「ほら、幅は縮まった!!」」
「じゃ…ねえ!!」
力強く抱きしめられたため苦しさにうめき声が。
と、次の瞬間日吉くんが二人を私から引き剥がす。
『ぷはっ』
「「何すんだよぉ!!」」
「朝からベタベタすんな、暑苦しい」
そう言うと、私と双子の兄妹の間に入った。
「ほら行くぞ」
『は、はい!』
すたすたと歩きだす日吉くんの後ろを追いかけていると後ろのほうで李月くんと譜月ちゃんが手をパチンと合わせていた。
(謀られました…でも感謝です)
それから、四人で今日の宿題について話しながら登校しました。
学校につくちょっと前に向日先輩に会ったのだけど譜月ちゃんが少し顔が赤くなってたのは何故でしょう。
………………はっ、もしや!疑惑です!
放課後。
「野宮、行くぞ」
『あ、テニス部の部室ですね』
「ああ」
日吉くんに声をかけられ、鞄をもって一緒に教室を出ると長太郎くんたちもそろっていた。
「いったい何の用件だろうなー」
「知るか、忍足さんの考えることなんてどうせろくでもないことに決まってる」
「私は面白かったら何でもいいかなー」
『そうですね』
「文化祭の出し物についてじゃないかな」
五人でこれから向かう場所についての想像を膨らませながら歩を早めた。
(そう言えば私のアドレス、どうやって知ったんだろう)
(教えたんじゃないのか?)
(いえ…)
(うわぁ、怖いねー)
(あ、俺が教えたー)
(((お前か!!)))
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