杉浦作品(いちラキ)感想


11年3月号

どんどんどんどんシリアスな展開に突き進んでいってます。前回の終わりで目を覚ました妖芽皇子でしたが、今回はちょろっと妖芽主従にもスポットが当たってました。でも哀しくなる展開。。。



羅貫と皇子はやはりどっかで繋がってるのですね。羅貫が見た「千艸の記憶」を皇子も全部見たんだろうか。


自分を「異形」で「不完全なモノ」だと自覚するのは、あの皇子にとってどれだけしんどい事だろう。羅貫と自分を比べて「何故」と問う姿は痛々しかった。そりゃあ羨望と嫉妬が渦巻くよな。暗くもなるわ。


だからこそ、自分を抱き上げてくれている金隷を見つけた時の皇子が、一瞬驚いた後すぐにすっごい幸せそうに希望を見つけた!って感じの表情になるのが嬉しかったです。ああ、表情も仕草も子供に返ってるなあ。幼い感じで可愛いです。素直に甘えてるっぽいのがいいなあ。気を張らずに対峙できる相手っていいですよね。自分にとって一番大事な人が傍に来てくれた嬉しさが、ホント伝わってくる。
今まで金隷を眠らせてたった一人で頑張ってきたんだもんねえ。自覚がなくても相当参ってるでしょうよー…。


金隷に「ありがとう」とお礼を言いかけた皇子はぎゅーって抱きしめたくなるくらい可愛かったです。お礼を!あの子が他人にお礼を!!感激しました。(お前は皇子を何だと思って…)
しかし次のコマでどん底に叩き落されました。


あー…忘れてたよ。金隷も完全なる人ではなかったんじゃないか。でも操られて意識がないままであの行動ってあんまりだ。
自失して涙を流す皇子が可哀想で仕方なかったです。「コレも人形」って、羅貫とは違って、自分の周りに生きて自我を持つ人はいないと思ってしまってるのか。金隷が自分に尽くしてくれるのは自らの意思ではなく「操られてるから」だけだと思ってるのか。

金隷はちゃんと自分の意思で皇子の傍にいて自分の意思で一度眠りに付いたのだよ!
そして自分の気持ちで皇子のことを見て、皇子のことを想っている…これは星示御言にも操れない心だったと思うのだけど…。皇子には伝わらないだろうか…。


泣くことができて、一歩ずつ神の子から普通の人近づいてるのはいい傾向だと思うけども、今回のは痛かったです。希望の後で一気に絶望なのだもの。
本来なら、こんなしんどい時に叱咤したり抱きしめてくれるだろう人が今まさに傍にいるのに、本当に支えて欲しい今はそれが叶わないのだから、見ててしんどいです。
でも乗り越えてくれ。ていうか、金隷の目が覚めて活を入れて欲しいところです。さっさと目を覚まして―――ッ!!



一方の羅貫たち。
強すぎる光と、千艸の精神に食い込む糸に悪戦苦闘してる中、本当に羅貫がめちゃくちゃ怒ってる。うわあ。
星示御言は本当に狂ってるなー…。笑顔に鳥肌がたったのは久々だわ。警備隊の面々もドン引いてるけど、こっちもドン引きです。あ、我刀さんも聞いてる。星示御言の言ってる声は、どこにいる人にまで聴こえてるんだろう。宮さんや夜明にもちゃんと聴こえてるのかな?当事者達には聴こえてるといいなあ。


緊迫してる中での千艸と羅貫のやり取りに安堵するやら、うわあ…とによによするやら。なんかやられた感満載です。ああ、自覚して口説いてたんだ、羅貫。もうこの2人の間には誰も、神様だって入れませんね。こんな状況なのに2人が一緒ならなんか大丈夫なんじゃない?と思える安心感というか安定感があります。杉浦先生の描く主人公CPは、お互いがちゃんと自分の足で立ってて、なおかつ相手のことをめちゃくちゃ信頼してるのが伝わってきて、結びつきとか半端なく強いのがいいですね。



2人が星示御言の注意を引き付けてた裏で動いてた灯野兄弟に拍手喝采!よくやった――!!ここの兄弟もホントいいな!そういや関係ないけど、灯二は主匪を「一灯」って本当の名で呼ぶんですね。何かちょっといいなーと思ってしまいました。



星示御言に何を言われても「それが何か?」と返せる羅貫たちの強さが好きです。


羅貫と千艸、成重さんと虹、灯二と主匪、皆がいて初めて手にできた今だと思うと感慨深いです。

雲が晴れて初めて見た空が夕焼けというのも憎い演出だなー…と思ったり。夕立の後の夕焼けとかホント綺麗だもの。それでいてどこかしんみりするような…。どこまでも抜けるような青空は全てが終わったあとに見られればいいよ。



しかし「金隷の操られ方は特殊なんだ」という千艸のセリフに嫌な予感がしてたらば、やっぱり皇子と金隷が…。
千艸が『人形みたいに感情がまったく見えない』って言ってるけども、金隷は本当に操られたままで意識は戻ってないのだろうな。星示御言が消えても、何かしないと命令は解けないのか。
皇子は……気持ちを封印してしまったの、かな?せ、せっかくいい方向に向かってたのに、おのれ星示御言!!あああ、皇子がまたどす黒くなってしまってるよ…;


重華さんが久々に出てきましたね。この人もこの人なりに自覚があったんだな…。あのサノメの人は羅貫と皇子の元に自ら来そうな気がしますよ。
サノメの人が羅貫の母親のお墓にあった木から生まれた母に似た人だという事とか、「ラカン」と呼びかけた謎とか回収されてないので、その辺のエピソード絡める方々、2人の前に現れて欲しいなーという願望があります。
「兄弟」や「母」というのがお話のキーワードの1つだと思うので、例えニセモノであったとしても、ラカンと妖芽皇子が「兄弟」で、あのサノメの人が「母」だというのなら、サノメの人が2人にとっての希望になれば…皇子を救う手がかりになればいいのに、と思ったり。(すみません、上手く言えない…。ニュイアンスを分かってもらえたら嬉しいです)



ところであんな高いところから落ちてしまった(っぽい)羅貫たちが無事でありますように!




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