ksxx5

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―――――11年前。
葉柱夫妻の顔は知っていたから仲良さ気に夫妻の前を歩く子供は息子たちなんだと容易に認識できた。
後から調べれば、斗影とルイという名前で。
そのとき見た綺麗な深緑の瞳が印象的で、俺は見入ってしまっていた。
あれから月日が経ち。
今年赴任した高校に奴はいた。
しかしいつの間にか綺麗な深緑だった瞳は漆黒より黒く、光を見い出さなくなっていた。
何があったのか知らない。
でもあのとき見た綺麗な目のアイツをまた見たいと思った。
























* * * * * *



























「…今日はなに。珍しいこともあるっちゅう話?」
「………なんでもねーよ」

ヒル魔に話しかけたのは彼―――円子令司。
いつもなら数学準備室に籠っているのに、今日は朝からずっと職員室にいるヒル魔。
珍しいこともあるもんだと思って聞けば、これまた珍しく煮えきらない返事。

「ほっとけ、ほっとけ。どーせまた例のヤツだって」

そう言うのは保健体育教師の金剛阿含。

「阿含っ!」
「だって雲子ちゃん、ホントのことだしー」

雲子ちゃん、否、金剛雲水。
金剛阿含と金剛雲水、2人は兄弟でもあり教師でもある。

「………………考えすぎはよくない」

言いながらコト、とヒル魔の机に置かれたのは真っ黒なマグカップに入ったブラックコーヒー。

「…まぁ、そうなんだけどな………」

そう言って雲水が入れたコーヒーを啜る。

「雲子ちゃんの淹れたコーヒー飲みやがって」
「なんだ、嫉妬は見苦しいぞ糞ドレッド」
「っなわけねーだろ」
「そもそも俺とヒル魔だと下になる相手がいない」
「お前は後ろもイケっだろーが」
「そうなのか?」
「試してみるか?糞坊主」
「…っと待てっちゅう話」
「マルコ………ああ、お前が下になればいい」
「え、なんで」
「賛成だ」
「面白そーじゃん♪」
「………………あ、あのー」
「あ゙ぁ?」
「なんだよ」

一斉に4人の8つの目が向く。

「…えと、その、授業が始まってるんです、けど…」

見れば現代文講師の小早川瀬那(22)。
どうやら一番下っ端が止めることになったらしく、遠巻きに他のやつらがこちらの様子を伺っている。

「そうか。悪いな小早川」

そう言って何事もなかったように職員室を出て行く雲水。

「…チッ、しゃーねー」
「助かっ、た…」

ヒル魔とマルコも雲水に続いて職員室を出て行く。
そして最後はさも面倒臭そうに出て行く阿含。
騒ぎの原因、厄介な人たちが職員室を出て行き、小早川瀬那とその他の職員たちは安堵の溜め息を零した。
























* * * * * *

























ちょっとぐらい遅れても授業に差し障りはねぇ。
遅れたことには一言も触れずに即授業。
勿論誰も文句は言わない。
否、一人だけ。

「…ったくよ、少しぐらい詫びろよな」
「ルイっ、聞こえるって」

残念だったな。
もう聞こえてる。

「糞カメレオンに糞銀髪、ついでに周りの4人前出て問題解け」
「げ…」
「まじかよ」
まぁ問題自体は授業聞いてりゃそんなに難しくないと思うが。
一問を除いて。
思った通り、そう時間はかからずに席に戻った。
葉柱以外。
葉柱には他の5人とは別の問題だ。
理不尽だって?
聞こえねーなぁ。

「っくそ、なんでだ」

一人だけ違う問題だと気付かずに問題と格闘する葉柱。

「分からねーか?」
「カッ…」
「じゃぁ宿題な」

時間ねーし、と言うと葉柱は大人しく席に戻った。悔しそうに。
他の5問は殆ど合ってたから軽く説明したところで授業終了の合図。
チャイムが鳴り響く中、教室を出た。

「…ヒル魔先生」
「……あん?」

目をやれば昨日抱いてやった…確か2‐Cだったか?の生徒。
いるんだよな、一回ヤっただけでしつこく食い下がってくるやつ。

「あの、これ良かったら…」
「何?」
「家庭科で作ったマフィンです。食べて下さい!」
「…受け取れねぇ」

いらねーと吐き捨てて職員室に戻ったら。
机にマフィンが幾つか並べられていた。
マルコの机にも、阿含の机にも、雲水の机にも。
職員室内を甘臭ぇ匂いが充満している。

「糞…机のモン処分しとけ」

なんとか吐き捨てるように言うと職員室から出る。

「なら俺貰うわ」

後ろから阿含の声が聞こえた。

「…ったく、甘臭ぇ」

幸い次の時間は空きだからゆっくりコーヒーでも飲んで休むことにする。
が。
コーヒーは職員室だ。
ここは数学準備室。
コーヒーメーカーなんてものはなく。
でもまた甘臭ぇ職員室に足を踏み入れたくはない。

「……………買いに行くか」

面倒。
思った瞬間に携帯に手が伸びていた。
5分後。
目の前には缶コーヒーが3つ。
そのうちの1つを手に取って飲む。
少し熱いくらいが丁度良い。
やっぱりコーヒーメーカーを設置しようと考えた。


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