【会話文多め】
「舞鈴ちゃーん!!」
「あれ、十四松じゃん!」
「何してるんすか!?」
「散歩だよ。」
「えっ、やきう?!やきう!?」
「いや、散歩ね。」
「じゃあデートする!?」
「えっ、急に?」
「それともやきう!?デート!?」
「わ、わかった。デートしよう!」
十四松と野球なんて自殺行為だ。何故か野球とデートの二択しかなかったから、この際お洒落も何もしてないけどデートに繰り出すしかない。
「舞鈴ちゃん!どこ行くっすか?!」
「んー…遊園地は?」
「遊園地っすか!いっすねいっすね!!」
「じゃあ決まり!ここから一番近い所ね。」
「舞鈴ちゃん、ハイ!おいで!」
私に背を向けて屈んでおいでって。おんぶ?おんぶなの?!何故おんぶ?!
「早く遊園地行こう!僕めっちゃ足速いよ!」
「あ、なるほど。じゃあお言葉に甘えて…」
「行くよ!ヨイショー!」
「うひゃー!はやっ!」
ビュンビュン走ってく十四松。お前はチョロQか。普段何してたらこんなに足の速い大人に育つんだろうか。どんどん流れる景色の中に十四松に良く似た人を見かけた気がする。
「ねえ!今十四松に似てる人いなかった?」
「あのね!それ僕の兄さん!カラ松兄さんだよ!」
「え?十四松って兄弟いたの?二人兄弟?」
「ううん、違うよ!僕たち六つ子!」
「六つ子?!」
「あい!僕があいつで僕達が僕!六人でひとつ!」
「そうなんだ…六つ子なんて本当にいるんだ。」
驚きとともに感心した。親御さんよく頑張ったなぁ。十四松とは1年くらい付き合ってるけど、この狭い町で十四松以外の兄弟を見たのは初めてな気がする。六人もいるのに誰とも合わなかったって逆に凄いんじゃ…。
「ハイ!着いた!」
「えっ、はやっ!!」
「僕、足めっちゃ速いっすから!」
「でも十四松…速すぎてまだ開園まで時間あるみたい。」
「まじすかまじすか!」
「まじすよ。」
しょうがないからその変で座って待とうか?あい!なんて会話をして遊園地が開園するのを待った。