【会話文多め】
「おそ松兄さん!」
「いや、俺舞鈴の兄ちゃんじゃないからね?」
「一松が構ってくれません!」
「えっ、スルー?まあいいけどさ。で、一松が構ってくれない、だっけ?」
「そーなんです!これっぽっちも!見向きもしない!」
一松ったら猫の方ばっかり見ちゃってさ!何さ何さ!私より猫の方が可愛いってか?そーですね、当たり前ですね!猫の方が可愛いことなんて知ってるし!でも、だからってあからさまに無視しなくてもいいじゃん!
「あっ、そうだ!舞鈴、ちょっとこっち来て!」
「えっ!?おそ松兄さん?ちょ、どこいくの?!」
おそ松兄さんに手を引かれ、あれよあれよという間に隣の部屋へ。おそ松兄さんの手には、いつの間にかどこからか引っ張り出してきた猫耳と尻尾付きスカート。え、なにそれ。有無を言わさず押し付けられ、それ着てきてね〜。と言って勝手に部屋を出ていくおそ松兄さん。置いてくなし。どーゆー状況だ。わけわかんないからとりあえず着てみたけど、なんだこれ恥ずかしい。
「おそ松兄さーん!ヘルプ!恥ずかしさで出てこれない!」
「大丈夫!それ来てくれば一松に構ってもらえるよ!」
「え、ホントに?じゃあ出る!」
「………おー、似合ってんじゃん?ほら一松、見てみろって!」
「今の間はなんですか。」
「気にすんな!ほらほら一松〜!」
「なに、うるさいんだけ、ど………は?」
「うわー!ホントだ!一松がこっち見た!」
「え、何その格好。なんで猫…」
「おそ松兄さんにこれ着ろって言われた!」
「チッ……舞鈴、こっち来て。」
「うん?」
「おそ松兄さんどっか行って。」
「はいはい、邪魔者は退散しますよ〜。」
おそ松兄さんがいなくなった部屋には私と一松の二人だけ。ソロソロと一松に近づくとドサッという音と共に背中に衝撃。今まで上にあったはずの天井が至近距離にある一松の顔の後に見える。
「え…?」
「何その格好。」
あ、押し倒されたんだ。私、一松に押し倒されて…いやちょっと待ってなんで?!しかもこの状況でその質問?!さっきもその質問したよね?!
「いや、だからおそ松兄さんに…」
「違う、そうじゃない。」
「…はい?」
そうじゃないって何?どうなの?何が聞きたいの?!
「その格好は、僕を誘ってるわけ…?」
「…は?いや、ちがっ!誘ってません!かまって欲しかっただけ!」
「じゃあやっぱ誘ってるんでしょ?」
「だから違うって言ってるでしょ!」
「ふーん、まぁいいけど。」
パッと手を離しまた猫の方へ戻っていく一松。結局猫がいいのかよ。もう少しくらい構ってくれてもいいのに。
「その格好…」
「え?」
「だから、その格好。僕は似合ってると思う。嫌いじゃない……人間の中では舞鈴が一番だから…」
だんだんと尻すぼみになって最後は聞き取れるかどうかくらいの言葉だったけど、私の耳にはちゃんと届いたよ。