六つ子の妹


「あれ?もう終わっちゃった?」

「舞鈴〜!舞鈴が来る前に終わってよかった〜!」

「てか、舞鈴遅くない?!LINE入れてから1時間経ってるけど何してたの?!」




LINEが入ってから一時間後に到着した私は、上からおそ松お兄ちゃん、チョロ松お兄ちゃんの順で声をかけられた。私には、20そこそこなのに大学に行かずにニートやってる六つ子の兄がいる。というのは表社会の建前で、裏社会での私たちが本当の私たちというべきかもしれない。両親含めて9人という大家族が、両親の稼いだお金だけで生活し、更には私が大学に通うというのは無理があるに決まってる。それが理由、という訳では無いが裏社会で稼げるのはラッキーだ。表社会よりも莫大な金額の流通が可能だし、こんな大家族でも某有名私立大学に通えるだけのお金がある。その上、バイトもしてる私は結構な額の貯金があるわけで。




「え?何してたって、友達とショッピングだよ?せっかく午後は講義がないんだもん。出かけなきゃ損でしょ?」

「舞鈴、友達といたのか?バレずに抜けてこられたのか?」

「ふふっ、カラ松お兄ちゃんは心配症だなぁ。大丈夫だよ、兄の調子が悪くなったみたいって言って抜けてきたから。」

「そうか、バレずに済んだならよかった。」




舞鈴の友達関係を壊したくないからな、といって頭をポンポンと撫でてくるカラ松お兄ちゃん。たまに…よくイタイ発言をするカラ松お兄ちゃんだけど、根っからの兄弟(妹)大好き人間ですごく優しいのを知ってるから、甘やかされると嬉しくて調子乗るし一番甘えやすい。大学生にもなって甘えてる自分がたまに恥ずかしくもなるけど、買い物も付き合ってくれるし欲しいものも買ってくれるからつい、ね。




「あっ!カラ松ばっかりずる〜い!長男様にも舞鈴の頭撫でさせろ〜!」

「うおっ?!…お、おそ松、痛い…」

「長男様を差し置いて舞鈴を撫でてたカラ松が悪い!」

「それは違うでしょ、おそ松お兄ちゃん。」

「ぐはっ!舞鈴に怒られた!お兄ちゃん死にそう!」

「はいはい、そんなんで死なないでね〜。死なれたらみんな悲しむから。」




やっぱ舞鈴大好き!と抱きついてくるおそ松お兄ちゃん。まじなシスコンだ。妹離れ出来てないのが丸わかり。




「おそ松兄さんは後片付けを手伝えよっ!」

「チョロ松〜、お兄ちゃんは闘ってもう疲れたんだよ〜。そのへんの気持ちくらい六つ子なんだから汲み取って?」

「何言ってんの。だいたいおそ松兄さんのまいた種じゃん!しかもあれくらいじゃ疲れない癖に!」




あーだこーだと長男と三男の喧嘩が始まる。いつもの事だし口喧嘩ならチョロ松お兄ちゃん強いし何も心配ないからいいんだけどさ。ここ外だからね?もう少しボリュームを下げて欲しいなぁなんて。




「はいはーい!おそ松兄さんもチョロ松兄さんもうるさいと思いマッスルマッスル!」

「そうだよ〜。おそ松兄さんもチョロ松兄さんも場をわきまえようよ。十四松兄さんの言う通りだよ。」

「トド松はムービー撮るのやめた方がいいと思うぞ。後で2人にコテンパンにやられるからな。」

「うるさいクソ松黙れ。」

「…ハイ。」




上から十四松お兄ちゃん、トド松お兄ちゃん、カラ松お兄ちゃん、一松お兄ちゃん。いつも騒いでる十四松お兄ちゃんに言われちゃ2人もお終いだよね。相変わらず一松お兄ちゃんのカラ松お兄ちゃんに対する態度は酷いのが気になるけど。今は全然イタくないのに。




「みんな、早く片付けて帰ろ?私、お兄ちゃんたちと一緒にアイス食べたいなぁ!」

「よし、お前ら!1分で後片付けして帰るぞ!」

「「「イエッサー!」」」




なんて単純でシスコンな兄達なのだろう。そんな兄たちを何だかんだいいながら頼ってる私も大概ブラコン何だろうなぁ。

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