今から数ヶ月前、私は初めて松野カラ松という人物と出会った。


ーーー数ヶ月前


私はいつも通り勤め先の病院で患者さんのケアをしていた。




「綾崎さん!けが人が運ばれてきたので手伝ってください!」

「今行きます!」




けが人が運ばれてきた。最近うちの病院には大したことない怪我でも診察に来る人が多くいる。本人達からしたら心配なのかもしれない。専門的な知識もないだろうし、それは当たり前だ。だからどうこうという訳では無いのだけど、今回もそういう類だろうと思ってヘルプに行ったから私は最初、驚いてしまった。




「あ、綾崎さん!この方運の手伝ってくれますか?」

「は、はい。」




とてもひどい怪我だった。打撲多数、腕からの出血、骨折。頭から流れる血の量からして結構縫わなきゃいけないんじゃないか。この人は不良か何かなのか。今時そんなひどい怪我、どうやって作ってきたのか。沢山疑問があった。




「これは結構ひどいなぁ。数針は縫わなきゃだぞ。」

「……」




先生もそう言っている。私は気絶している彼の事を知りたいと思った。あまりにも痛々しい姿の全くの見ず知らずの彼を心配せずにはいられなかった。
翌日、出勤時間に病院へ来ると昨日の彼が院内をとぼとぼ歩いていた。とても寂しそうな表情が私には気になって仕方がなかった。どうにか接点を作れないものか、と悩みながらいつものように仕事につこうとした。



「綾崎さん。」

「はい。なんですか?」

「今日から303号室の松野さん、あなたの担当になるから、よろしくね。」

「分かりました。」




303号室の松野さんってどんな方何だろう。あまり厄介な患者さんじゃないと嬉しいのだけど…。
そんなことを考えながら、303号室の松野さんのベッドまで歩みを進める。カーテンのかかったその空間に人がいるとわかり一安心。厄介な患者さんだとたまに抜け出したりして困ることも多いから、ベッドにいてくれると言うだけでも有難い。




「松野さーん。カーテン開けますねー。」


ーーーシャーーーーァ