「おそ松兄さん、聞いてくれてありがとう。」

「もう大丈夫そーか?」

「あぁ…そろそろ一松が帰ってくる頃だろう?」

「え、まじ?もうそんな時間かよ〜!」




おそ松兄さんは奇跡的に小学生メンタルのまま大人になった、いわゆるバカ兄貴だ。そんなおそ松兄さんでも俺達六つ子にとっては長男だ。何だかんだ言ってもやっぱり面倒見はいいと思うし、兄弟のこと何でもお見通しだし、俺にとっては唯一の兄だからいつも相談に乗ってもらっている。




「あっ、そーだ。パスワード変えてみよっと!」

「パスワード変えるのは流石にダメだと思うぞ、おそ松兄さん。トド松が困るだろう?」

「大丈夫大丈夫!わっかりやす〜いのにしてやるから!」




何にしよっかなぁ〜、なんて調子良さそうに鼻歌交じりでパスワードを変えているおそ松兄さんを横目にトド松に謝る。すまないトド松。おそ松兄さんを止められなかった…。そこへぴしゃっという音とともに襖が開いて一松が入ってきた。




「あ、一松!おかえり。」

「おー、おかえり一松……あ、オナニーにしよっと。」

「……ただいま…おそ松兄さんは何してんの…」

「んー?いや、ちょっとなぁ〜。」




一松が帰ってきても部屋の雰囲気は大して変わらない。おそ松兄さんはやっと飽きたのかトド松のスマホを机に起き、ごろんと寝っ転がった。




「あーー、暇だなぁー!可愛い女の子とかいないかなー!」

「フッ、俺と一緒に外へカラ松ガールを探しに行くか?」

「イタイイタイ!カラ松イッタイよー!」

「えっ、どこが痛むんだおそ松?!」

「クソ松うるさい黙ってろ。」

「え。」




相変わらず一松はカラ松に手厳しいなぁー。はははとお腹を抱えて笑いながらおそ松兄さんは一松に言った。フォローのつもりなのだろうか。さっきは確かにおそ松兄さんに不満を漏らしたが、一松の手厳しさにはもう慣れたし、ああ言うけど実はとても優しいやつだってことは知っている。




「「「ただいま〜!」」」



みんな帰ってきたみたいだ。本当はもう少しおそ松兄さんに相談したいことがあったんだが…まあそれは今度の機会でもいいか。恋愛相談なんて俺自身一度もしたことないから、どうしたものかと悩んでもいるのだ。