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「せやから、扉3つはこの位置とこの位置と、ここや…舞鈴、わかっとる?」
『すみません、全ッ然わかんないです。いや、地図上の位置は分かったんだけど、現実と一致しないっていうか。』
「舞鈴さん、方向音痴なんすか?」
「せやで。俺と初めて話した時も迷子やってん。」
「マジっすか。」
『マジっす。方向音痴らしいんだよ。地図見ても良くわかんないし。』
「それは完璧に方向音痴っすね。」

そうなんだよなー…じゃなくて!もう私の方向音痴の話はいいからミッションの話しようよ!ほら、もう残り25分しかないじゃん!と、図々しいことはいえません。なにせ私が足を引っ張ってますから!

「よし、ほな俺はここ担当するわ。一番遠いしな。」
「ふーん…じゃ、俺はここっすね。近場は舞鈴さんが行けばいいでしょ?」
『うん、ありがとう。………誰か途中まで一緒にきて……』
「そのつもりやで。俺らが舞鈴を送ってから、各自の場所に行く。それでええやろ。」
「うぃーっす。」
『サンキュー!マジ恩に着る!」

急に元気になったな、と光るに言われたが、当たり前だ。もう迷子は嫌だ。送ってもらえるなんて、喜ばずにどうしろと。幸せすぎてまじ浮かれるわ!

「ほな、今ハンターおらんから行くで!」
「っす」
『りょーかい!』

一斉に走り出して、まず私の扉へと進む。ハンターに遭いませんように、無事に扉にたどり着けますようにとお願いしながら走る。遭いませんように、遭いませんように、遭いませんよ、う……に!?

『うわあああああああああ!!!』
「!!?ど、どうしたんすか!?」
『ハ、ハンターと目があったあああああああ!!!』
「アホ、なにやってんすか。」
『しょーがないだろおおおお!!!うわっ、きたきたきたきたああああああ!』

なぜ自分はいつも足を引っ張るのか、一瞬そんなことが頭をよぎったが、今はそれどころじゃない。とりあえず逃げるためにその考えは一瞬で思考回路から外れた。なんて都合のいい頭だ。いや、そんなこともどうでもいい。

「越前、巻くで。」
「うぃーっす。」
『え、え??どーやって……』
「舞鈴は俺についてきてください。絶対に離れたらアカンっすよ。」
『わ、わかった!』
「ほな越前、また後でな。」
「りょーかいっす。」
「せーのっ!」

同時に二手に別れる。リョーマが左、私と光が右へ走り出す。たぶん私だけ全力疾走で。はぐれんようにとか難っ!!!早すぎて付いて行けてる今が奇跡だって。

「舞鈴、大丈夫か……??」
『な、なんと、か……もう、ハンター……いない…?』
「なんとか巻けたで。越前はどないやろ…」
『あ、リョーマ大丈夫、かな…?』
「………越前、おった。」
『え、どこ?』
「そこ。」
「ちーっす。」
『本当だ。』

何とか巻いてきたというリョーマと再び合流し、一休みする。っていやいや、そんな時間ないよ?!あと15分で大丈夫なの???こんな調子じゃ無理に等しいんじゃないですか??

「大丈夫やろ。」

いやいや、その自信はどこから湧いてきてるんだい、マイエンジェル光ー!!!

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