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pipipipipipipipipipipi

『んー………今何時…………うっそヤバッ!!!』

私としたことが………目覚ましかけ間違えた………。
とんだバカヤローです分かります。
もう5時過ぎてるよ、急いで準備しなきゃ。

『な、何で起こしてくれないのさ、お母さん!!!』
「あら、ごめんなさいね」

呑気なものだ。
そういえば昨日、寝ながら考えたんだけど、跡部財閥ってどこかで聞いた気がするんだよね。
何処で、何の時に、どうして聞いたんだっけ………???
うん、まあいいや、今はそんなこと考えてる暇はない。
とにかく急げ!最優先事項だ。
もうすぐ光が迎えにくる。

「はい、朝食できたで。」
『いただきます!』

パンと味噌汁…………なんてミスマッチな………。
とか文句言ってる暇もない。
時計の針は5時30分を指した。
朝食は自慢の早食いで済ませ、身支度を整える。
自慢が早食いはどうなのかって?芸能界にいたらそんなもんだよ。
ギリギリ40分に支度を終えたところにインターフォンが鳴った。
すごっ、めっちゃピッタリ!!!

『じゃあね、お母さん!いってくるから!』
「気をつけるんだよ。みんなにはくれぐれも迷惑かけんようにするんやで?」
『はーい、分かってるって。じゃ、いってきます!』
「いってらっしゃい。」

バタバタと慌ただしい我が家とは一変して、外にはこれ以上ないくらいに真っ青な空が広がっていた。
うん、天気もいいし合宿日和だね!

『おはよう、光!待たせてごめんね。』
「おはようございます。ええですよ、そんなに待ってへんですし。」
『そ?ありがとう。』

小鳥たちにさえずる声がとっても綺麗で、清々しい。
昨日はあれだけ文句言ってたけど、実はちょっと楽しみだったりもする。
まあ、面倒臭いのは確かにあるし、広くて何往復も動き回って体力消耗するのは嫌だし、迷惑甚だしいけども!
こうやってみんなでワイワイ合宿っていうのは、憧れていなかったわけでもない。
ただ、縁のない話なんだろうなぁとは思っていた。
縁あったけど。ありましたけどね。

「今日から、1週間一緒に頑張りましょう。」
『うん!頑張って光のサポートするよ!』
「ははっ、おおきに。」

うぅっ、か、可愛いよマイエンジェル!!!
もっと笑って!なんて恐れ多くて言えないけど。
たまに見れるからいいよね、光の笑顔って。
こう、なんていうのかな、レア?そう!レアっぽい感じがする!
私だけ、みたいな。
しかし、合宿長いなぁー、まだ夏休みじゃないのに1週間とか長すぎでしょ!
授業どうなってんの?補修的なのもないみたいだし………。
まあ、テニス部は毎年恒例らしいし、ムア………校長からも許可が降りてるみたいで、欠席扱いにはならないらしいからいいけど。

「おーい!ざいぜーん!綾崎ー!こっちや!」
「謙也さん、朝からテンション高いっすわ。」
『元気だな、謙也は。』
「せやろ?」

あははと笑う謙也はなんか………太陽?
そんな感じがする、うん。眩しいもん。直視できないし。
なんか、光の笑顔とは違った意味でレアな気がするよ、うん…なんか。
光のは見れたらレア?って感じで、謙也のは存在することがレアみたいな?わかんないや、何言ってるんだろう私。
……………一氏が変な目で見てるからやめよう。
…………………………ムカつくわ、あとで張っ倒すかな☆

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