12

「よし、いったん休憩や。」

あれから1時間だって。
なんかさ、話飛ばしすぎじゃないかい?

「舞鈴、タオルと水頂戴。」
『おう。…はい、お疲れ!』
「綾崎ー!俺にもタオルと水くれ!」
『はいよ、謙也。そんなに急がなくてもいいんじゃねぇか?』
「綾崎ーーーー!」
『ぐっ、がはっ……!!!い、いってぇぇぇええ!』
「綾崎?大丈夫か?」

大丈夫、だと思う、かろうじて……多分、きっと。
ていうか、馬鹿力にも程があると思います。
一瞬死にそうになったよ?!三途の川がちらついてたからね?!

「ワイにも水ちょうだい!!!」
『あ、あぁ、はい。』
「俺にも水くれるか?」
『チッ、白石か。しょーがねぇな、どーぞ。』
「あからさまに嫌な反応すんのやめて!」
『これが俺の素直な感情だ。』
「そっすわ。本来なら俺の分だけでええところを、全員分作ってくれたんやから感謝せなアカンやろ。」
『光…!よし、もう一本水やろう!ついでに俺の愛情もやろうじゃないか!』
「有難く貰いますわ。」

あーもう、光マジ天使!キラッキラしてるよマイロード!
光がいれば私の人生バラ色だよ!
もう二人の世界に浸っていたい、てか浸らせろ。

「おい。俺にも水くれy」
『どりゃぁぁぁぁああ!自分で取り来いアホ氏!俺の至福のひと時をぶち壊しやがってコノヤロー!』
「((こ、こえぇぇぇぇぇぇ!))」

ほぼすべてのレギュラーが、逆らわない方が身のためだと思った瞬間であった。

「あ、舞鈴。俺のプレイ見てはりました?」
『おう、もちろん!バッチリ見てたぜ☆』
「どうでした?」
『めっちゃカッコよかったぜ!スゲーな光!って感じだった。』
「ホンマっすか?ホンマにカッコよかったですか?」
『おう、ほんとほんと!』

ピトってくっついてくる光可愛い!
あぁぁぁぁ家に一人欲しい!一家に一人必要でしょ!
マイエンジェル光!マジ天使マイロード!
………なんか頭おかしくなったな私。まあいっか。

「ほな、俺のプレイは?」
『謙也も見てた見てた。お前スッゲー足はえぇな!流石スピードスター☆』
「よっしゃ!褒められた、認められたで俺!ようやった!」

あー、自分で褒めちゃってるよ。
これ白石とかだったら残念すぎてアレだけど、謙也だったら何と無く許せる、うん。
なんか、こう………子犬みたいだし?…………これは死んでも言わないけど。

「俺の完璧な無駄のないプレイ、どうやった?」
『あ、ごめん。見てねーわ。』
「え、酷っ!!!」
「残念でしたね、センパイ。」

いやー、なんか決め台詞が変態丸出しだったことしか覚えてないよ。
まあ確かに、綺麗な型だった気はしなくもないけど。
とかは絶対に言ってやらない。ムカつくから。

「小春ぅぅぅ!」
『うっさいアホ氏!』
「なんでやねん!お前に言ったんとちゃうわ!」
『知ってるし。癇に障るからやめろって言ってんだよ。』
「お前、あからさまに俺への対応だけずば抜けて酷いやろ!?」
『当たり前じゃん。』

アホ氏に優しくする理由も術もないに決まってるでしょ。
まあでも、お笑いテニスが面白くて凄いことは認めるよ。小春のために。

「なあなあ!ワイの必殺技もすごいやろ?!」
『あぁ!あのスーパーなんちゃらかんちゃら?あれスゲェっつーか、当たったらこえぇよな。』
「超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐や!せやけど、コシマエは返したもん、なぁ!」
「せやね。」
『コシマエ…?誰だそいつ。』

珍しい苗字。しかもカタカナって、外人かっ!

[]

[ 戻る ]