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ーーーツンツン
つんつん…?え、つんつんって何?
ていうか、ツンツンってされてる私はどうしたらいいの?
「おーい、聞こえとるかぁ?呼んでんねんけど。」
あ、白石でしたか。
って、声出せるんだったら最初から声出せよ!
『んー?何か用か?』
面倒臭いので顔だけ白石の方を向ける。
てか、ムカつくくらい美男子だよね、白石って。
無駄のない美形っていうか。
ただ、この毒手とかいう包帯は残念だと思う。
旗から見たら、ただの怪我人だし。あぁ、痛々しい。
「なあ、綾崎くんはテニス部のマネやる気あらへんか?」
『は?』
何を言い出すんだこの人、頭壊れたか的な目で見つめたらニコッって笑ってスルーされた。
スルーとか酷いな軽く、まあ突っ込まれても面倒だけど。
「いや、うちの部マネおらへんくてちょっとしんどいねん。」
『んじゃ、俺みたいな男じゃなくて、他のその辺の女を誘えばいいだろ?』
何故わざわざ私に指名した。
私帰宅部志望なんで、どこの部活にも入る気ないですけど。
「あー、うるさいし無駄が多いからダメや。」
五月蝿いはわかる、想像もつく、言ってることも理解可能。
でもさ、無駄が多いってなに?何処をどのような基準で見て無駄なのかな?
私にはわからないぞ、理解不能だ。
『つか、男でイイワケ?俺、なんもできねーし、帰宅部志望なんだけどさ。』
「まあまあ。あれだけ財前が懐いてるくらいやし、面倒見はええと見た。仕事はそのうち覚えればええねん。っちゅーわけで決定な。」
『あ、はあ………っておい!決定かよ!』
拒否権というものはこちらにはないのか。
いや、人として対応に扱われる場合は拒否権はあるだろう。
ってことは、人として対等に見られてない?!のか……?
隣の美形男子は、何事もなかったかの様に前を向いて授業を受けてるし。
無視かい、相手にされてるのかされてないのか、イマイチつかめない。
ーーーパチン!
『痛っ!』
「す、すまん!」
高速で私にぶつかってきたのは、謙也のシャーペンだった。
てか、そんなおっきな声で謝らなくても…。
ほら、先生がこっち睨んでるじゃん。
「忍足、立ってなさい。」
「は、はい……」
立たされた謙也をみて、クラス中は爆笑の海に飲まれた。
今のどこに爆笑の要素があったのか、関東の人間の私に理解するのは難儀だ。
関西人のツボって、正直よくわからないんだよね。
「アホや、謙也……」
あーあ、白石にアホって言われてる。
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