08

「俺は先輩らに用ないんで。他の人当たって下さい。」
「さよか…ほんならしゃーない、他当ろか。ってちゃうわ!お前に用があんねん、財前。」
『まあまあ。光は悪くないって。』
「そうですよ。」
「はぁ?!どう考えても財前悪いやろ!」
『いや、だから悪くねーって。俺が公平に判断してるんだから、間違いねぇよ。』
「どこがやねん!公平のカケラも感じられんわ!」
『だって、光は俺に話しただけで、二人が知ったのは、俺がついポロッと言っちまったからなんだし。本来なら知らないはずだったんだ。だから、光は悪くない。まあ、悪いのは俺だな、あはは!ってことで、この話は終了。苦情は受け付けません。悪しからず。』

ん?なんか一方的だって?
いいのいいの、誰も被害を受けなければそれでいいのだ!

「はー、まあ、確かに綾崎くんが言うのも一理あるな。……しゃーない、今回は綾崎くんに免じて良しとするか。」
「当たり前っすわ。『((バシッ!!!))』った!…なんすか、舞鈴さん。」
『礼はちゃんとしろ。はい、やり直し。』
「チッ………どーも、ありがとうございますぅ。」
「ほんま、可愛げのない礼やなぁ。」
「謙也さんほどじゃないっすわ。」
「せやけど、財前が初対面でこんなに懐いとるなんて、珍しいなぁ。」
「そうですか?」

いや、多分それはきっと、私があの昴美陽だからだと思いますけどね。
面白がってるだけだと思いますけどね!
今のは自分で言ってて凹んだわ、やめよ。

『てか、次の授業何?』
「時間割、もらってへんのですか?」
「なんなら、俺の貸そか?」
「部長からは借りんといて下さい。変態がうつると困るんで。」
「なっ!」
「ほな、俺が貸したってもええでー?」
「謙也さんはもっとやめてください。アホがうつったらどないすんねん。」
「酷っ!!!」
『ま、まあまあ。借りなくても大丈夫。そこに貼ってあるし。な?』

とりあえず、この微妙に一方的な言い争いを終わらせよう。
ここは、私の得意な営業スマイルで、圧倒しとけば何とかなるでしょ!
って………

『あれ?みんなどうしたんだ?』

なんでよそ見してんの?
はっ!まさかのキモかったとか…?
いやいや、でも流石に(元、あれ?現?どっちでもいいや。)女優兼アイドルだし。

「謙也さん、何赤くなってんすか。キモいんで、舞鈴ん方向かんといて下さいっすわ。」
「残念やな、謙也。」
「そういう白石!自分やって赤いやろ!」
「俺はキモい言われてへんし。」
「あー、部長は変態っぽいんで、論外っすわ。」
『白石の方が酷い言われようじゃねーか、あはは!』

しかも聞きました?ね、聞きました?今の!
敬称呼びだったのが、呼び捨てに昇格してたよ!
懐かれてると思っていいかな?思っていいよね!!!
もー、光ってば可愛いなぁ、このやろー!

「あっ、ほなもう時間なんで。俺戻りますわ。先輩、舞鈴に何かしたら地獄みると思って下さい。」
「あいつ、サラッと怖いこと言い残して行ったなぁ。」

光が出て行った方を向き、

『うん、そうだね。』

心では違うことを考えならが、頭だけは頷いていた。

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