あの後、私は無事お菓子を作り終え、高尾くんに渡すため体育館へとやって来た


『…えーっと…』


私が辺りをキョロキョロしながら高尾くんを探していると、誰かに背後から声をかけられた


「あ?なんだ?誰かの応援か?」


『え?…あ…』


そこにいたのは、驚くことに宮地先輩だったー…


「それとも誰かに用か?」


そう問いかけられ、


『あっ…た、高尾くんに…』


と消え入りそうな声で言うと、宮地さんは頭をがしがしとかきながら、高尾くんを呼んできてくれた


「おい、高尾。てめーにまた用事だ、とっとと行け」


「は?今度は誰が…」


「あいつ」


宮地さんが私を指差す


私はそれを察知して、遠くから頭を下げる


すると


「あ、江藤さんじゃん!」


高尾くんが明るい声を出す


「…江藤…?誰だそいつ」


「俺に付きっきりで勉強教えてくれた子っす!んじゃ、ちょっと行ってきまーす!」


高尾くんはなにやら先輩方に声をかけてからこちらに走ってきた


「やー、遅くなってごめん!こんなとこまでどーしたの?」


『…あ、勉強教えてくれたお礼をって…』


私は紙袋を開いて中身を見せる


「お、やりぃ!なになに?」
 

『レモングミなの』


「ひゃー、すげぇ!そんなの作れんだ!?サンキュな!」


『ふふ、いえいえ!』


私は袋ごとレモングミを渡す


「なーなー、早速食ってもいい?」


『うん、いいよ。もう高尾くんのものだし』


「サンキュ!んじゃあいただきますっと!」


袋から出してパクッと食べる高尾くん


「…んー!マジうめぇ!疲れた体にきく〜!…っていうか、この味、どっかで食ったような…?」


そこまで言われて、つい最近から差し入れを作りはじめていることを思い出し、作っているのが私だと特定されては困ると、


「ど、どこかで似た味があったんじゃないかな!」


と慌てて付け加える


「んー、そっか」


高尾くんはなんとか納得したようである


するとそこへ、バスケ部の監督が


「おぉ、江藤じゃないか、どうしたんだ?」


『か、監督さん…どうも』


「んぁ?監督と江藤さん知り合い?」


『う、うん…』


と苦笑すると、特に食いつかれることはなく、


「そっか!」


とだけ言う高尾くんだった


よ、良かった…


そう胸を撫で下ろした






勉強のお礼

(お礼はちゃんとしないとね)

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