入学してから少し経ち、私は高尾くんと話すのも大分慣れてきた
そして、高尾くんは緑間くんにライバル意識を燃やしているらしく、同じバスケ部所属になってからは、"真ちゃんを唸らせるようなパス出してやっからな!"と緑間くんに宣戦布告したらしい
実に高尾くんらしい…
前向きなんだな、と感動すら覚える
私は、両親が亡くなってから、少し卑屈になってしまっていたから…
彼を見習わないとな、とも思う
黒子くんもそうだったけど、高尾くんも真っ直ぐだから…
応援したいと思う反面、私はこれ以上幸せを求めてはいけないとも思った
まるで心のなかで感情が喧嘩しているような気分だった
私がそんな感覚に陥る度、高尾くんは何故か私が落ち込んでいるのがわかるらしく、声をかけてくれては笑わせてくれていた
とある授業の最中、真面目にノートを取っていたら、隣からぽいっと折り畳まれた紙が飛んできた
『…?』
不思議に思いながらも、その紙を開いてみると、"この授業暇じゃね!?俺これ苦手だから退屈だわ〜"と書かれていた
その隣には、"これを解いて見るのだよ"と、眼鏡の絵がかかれており、文字数字が並んでいた
きっとわからなかったのだろう、ムンクの叫びのようなイラスト付きで…
私は苦笑しながらも、私のわかる問題だったので、"これはこう解きます"と解説付きで問題を解いて、隣に投げた
すると、しばらくしてからまた紙が飛んできた
"スゲー!超分かりやすい!なぁなぁ、この範囲教えてくれよ、次のテストで赤点取ると先輩方こえーんだって!"
"ふふ、いいよ"
そう書いて返すと、高尾くんが小さくガッツポーズしているのが視界に入った
…可愛いなぁ
なんて思いながら、私はノートの次のページに、解説付きでそこの範囲を書き始めたのだった
それを、次の休み時間に高尾くんに渡すと、凄くお礼を言われた
「マジ神かよ!?ありがてぇ〜!」
『ふふ、これくらいいつでも教えるよ』
「江藤さんこの科目得意なの?」
『うん。代わりに苦手な科目もあるけどね』
「え、それってなに?」
苦手な科目を伝えると、高尾くんの顔は輝く
「その科目なら俺得意だぜ!」
『ほんと?教えてもらってもいい?』
「当たり前だって!」
ニカッと笑った高尾くんに、私も微笑みを浮かべたのだった
教え合い
(わかる範囲は共有しましょう)
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