寒い寒い冬のおはなし


 
それはそれは寒い冬の出来事だった。
私は学校の近くの公園で
1年も付き合っていた彼氏に振られた。
理由は・・・
ほかに好きな人ができたから
 
「1年つきあっといて・・・
 今更好きな人できたとか・・・
 ほんとありえない・・・」
 
アイツが帰った後も
その公園で私は泣いていた。
 
 
 
 
 
「謙子先輩!?」
 
いきなり名前を呼ばれ
反射的に制服で顔を隠す。
「・・・謙子先輩・・・っすよね!?
 こんなとこでどうしたんすか!?」
 
この声は・・・赤也だ。
 
仲いいけど今は誰とも喋りたくない。
顔を見られたくない。
 
「・・・ごめん、赤也。
 今はそっとしといて。
 かえって・・・」
 
極力震えないようにがんばって声を出した。
これでかえってくれるだろうと思ったら
大間違いだった。
 
「なにゆってんすか!
 めっちゃ震えてる先輩残して
 帰れるわけないっしょ。
 落ち着くまでいますよ」
 
私の横に腰かけて携帯をいじりだす。
そしてふわっと何かがかけられた。
 
「どう?あったかいっしょ?」
 
「・・・ありがと」
 
 
それから30分くらいの間
赤也は何も言わず待っていてくれた。
私も少し落ち着いて顔をあげると
赤也はこっちを見て笑った。
 
「・・・っは、先輩!めっちゃ目腫れてますよ!」
「え?・・・うわー、最悪。」
 
鏡を取り出して、見てみると
赤也に言われた通り
大変なことになっている・・・
 
「さっ、帰りましょ。送ってきますわ」
「え、そんな悪いよ。
 30分くらい待っててくれたでしょ。
 寒かったのに、ごめんね」
 
「いいんすよ!テニスして暑かったんで
 めっちゃ涼しくなりました!」
「・・・ありがとね。
 んじゃ・・・送ってもらおっかな」
「うぃっす!」
 
 
帰り道は赤也が喋ってくれて
沈黙っていうことはなかったから
何も考えずに家までついた。
・・・ほんと、感謝しなくちゃ。。
 
「・・・ありがとう。
 何も考えずにここまでこれたのも
 赤也のおかげ!今度なんか奢るね!」
「ほんとっすか!?ごちっす!」「ふふ・・・んじゃ、ばいばい」
 
手を振って家に入ろうとすると
「謙子先輩!」
大きい声で名前を呼ばれた。
 
「ん、どうしたの?」
「オレ、先輩のことすきっす!」
 
「・・・っふ、私も赤也大好きだよー?」
「あーーー!もうっ!!
 そういう感じじゃなくて、真剣に!」
 
ちょっと驚いたけど
本当に真剣な顔して言ってくれたから
赤也に近づいて
 
「ありがとう、でも
 もう少しまってくれないかな?
 私・・・フラれたばっかだから・・・っ・・・
 ちょっと今は・・・っ考え・・・られないっ」
 
さっきのことを思い出して

目の前が滲む
すると赤也はふわっと私を抱きしめてくれた
 
「あーーー!!話さないでください!
 すんません思い出させちゃって。
 オレ、先輩がオレのこと見てくれるまで
 がんばりますんで、」
「うん、・・・ありがとう。。」
 
 
 
 
 
 
私と赤也が付き合い始めたのは
それから1ヵ月後、
赤也といてホントに楽しすぎて
1ヵ月なんてあっという間だった。
 
私にもまた春が舞い降りたのです。
 
 
----->
(先輩・・・また追試ですよぉ・・・)
(また!?・・・もうっ!私が教えてあげるから!)
(ほんとですか!?んじゃ先輩んちいきましょ!)



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