最後の部活でのおはなし




放課後、私は走らなくてはいけなかった。
早く、早く、走らなくちゃ。
それは・・・亮のため。
 
 
 
「おい!おせーよ」
「これでも・・・早く・・・きたんだから・・・」
 
走った理由は・・・
亮に必ず渡さなくてはいけないものがあるから。
それは1年のころから決して欠かさず渡しているもの。
 
「いつもの」
「はい!」
「サンキュな」
 
それは、ドリンクだった。
 
私は1年のときだけ臨時マネージャーをしていた。
その時、亮は私の作ったドリンクをすごくほめてくれたから
私は毎日作ろうと決意した。
その時からきっと・・・私は亮のことがスキなんだと思う。
 
 
もうすぐ亮たちは部活が終了する。
その前に私は告白したいと考えていた。
でも・・・
毎日ドリンクを渡すだけの私に
亮は何にも思ってくれていない・・・と思う。
当たり前だ。
  
でも、
このまま何も言わずに終わるのは嫌だ
だから、がんばるんだ。
最後の日に。
 
 
 
 
 
その日はすごい晴天で
ドリンクを渡そうとする前に
跡部さんがみんなを集めていた。
 
「これからはお前らの時代だ。
 最後に俺たち3年が
 部員一人一人と試合をする。
 これは3年からお前らへの最後の言葉と思え」
 
跡部さんの後ろで亮も立っていた。
跡部さんの言葉で本当に今日で最後なんだと実感し泣けてくる。
 
すると、亮が私に気付いてきてくれた。
「おい!いたならよべよなぁ。
 最後までありがとな!
 助かったぜ!お前のおかげだ」
 
といってドリンクを受け取ってコートに行こうとする亮の
ジャージをとっさにつかむ
「ま、待って!」
「あ?どした?」
「試合、終わったら待ってる」
「・・・多分すごい遅くなると思うけど
 待っててくれるか?」
「うん」
「んじゃ、早めに切り上げる!」
「最後なんだし思う存分やってきなよ!」
「・・・さんきゅな」
 
といって亮はコートに行った。
私はそれを少し見送って
コートがよく見えるところに移った。
 
 
階段を上がると
そこには鳳くんがいた。
「あ、鳳くん!」
「・・・あ、こんにちは!いつも宍戸さんにドリンク作っている・・・」
「うん、・・・もう今日で最後だけどね!」
 
鳳くんはふっと笑って
「んじゃ僕、試合いってきますね。」
「うん!がんばってね!勝ってね!」
「・・・相手、宍戸さんですよ?」
「・・・え?」
 
 
「いえ、・・・がんばってきます」
鳳くんの言葉がちょっと気になったけど
亮と鳳くんの試合に注目した。
 
 
 
すると鳳くんがこっちを見る
「先輩!これで僕が宍戸さんに勝ったら
 付き合ってもらえませんか!?」
大きい声でとんでもないことを言ってる鳳くんに
思わず顔が引きつる。
亮も反対コートでびっくりしている。
 
私の答えも聞かないまま
鳳くんは得意のスカットサーブを出した。
 
はっきりいって個人戦では
鳳くんのほうが強い。
鳳くんのほうが身長が高い上にリーチも長い。
だから打点が高くサーブやスマッシュが打てる。
亮はそんな身長も高くないし
これといって得意技もない。
でも、私は亮が勝てると信じている。
 
 
「あと1ポイントだぜ?
 さっきの勢いはどうしたんだよ長太郎」
「・・・まけません」
亮も3年の意地があるのか
そう簡単にはいかなかった。
あと1ポイントで亮がかつ。
 
「・・・いくぜ!」
「はい!」
 
鳳くんのボールに真剣に食らいついて
チャンスをうかがう
そこで決定的なチャンスがきた
 
「いけ!!亮!!そこ、サイド空いてる!!!!」
 
 
 
 
 
 
「ゲームウォンバイ宍戸!
 6ゲームストゥ5!」
 
審判の声が聞こえたとき
さっき自分が何をいったのかわからなくなった。
「うわ・・・恥ずかし。。」
 
 
コートを見るともうそこに亮はいない。
鳳くんがタオルをもって日吉くんのほうにいっていた。
 
「最後・・・お前の声だよな?」
 
後ろを振り向くと
亮が立っていた。
 
「お前のおかげで勝てたよ。
 さんきゅな!」
 
 
今しかない、そう思った。
「亮!私ね!亮のこと、大好きなの!
 多分亮が私のドリンクをほめてくれた時から!
 亮から目が離せなくなったの!」
 
言い終わった後は亮の目が見れなくて
地面を見ていた。
 
すると影がやってきて
顔をあげる。
 
「先に言われちまうなんて激ダサだぜ。
 本当はこの最後の部活の後に言うつもりだったのによ」
「え・・・本当?」
 
「あぁ、オレもお前が大好きだ!」
 
その瞬間、目の前が白くなって
亮が私に抱き着いているのに気が付いた。
私も背中に手をまわしてそれに答える
 
「これからも毎日、一緒にいれるね」
 
 
 
 
 

 
 
 
----->
(忍足。何やってんだ宍戸のやつ)
(うわー、いちゃついてんで、オレもあんなかいきたいわ)
(亮のやつうらやましいぜ!)
(んぁー?なにしてんだろいってこよっかな)
(おい、まてまてジロー!)



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