一氏ユウジ


 
 
あの緊張から1ヵ月がたった。
告白という告白をしたがアイツから返事はない。
だけどアイツが何かくれるヤツとは思わないが
心の奥でどこか期待してしまう自分がいる。
 
いつものように朝学校へ来て
いつものように自分のイスに座る。
 
「おい、あほ」
 
「・・・朝から何や。」
 
いきなりアイツがなんかいってきたから
戸惑って可愛くない言い方になる。
 
「可愛くないやつや、なんでもないわ」
 
自慢のバンダナをちょっと下げて
金色くんのほうへ行った。
 
・・・なんやねん。
少しでも期待したウチがばかやった。
 
そこからはもうグダグダで
気が付いたら放課後になっていった。
いつもどおりすぎる時間は
徐々に期待を減らしていった。
 
 
「・・・期待しとったうちがばかやったんやな、
 うん。帰るか」
 
鞄を持って玄関に向かう。
 
 
 
 
「・・・遅いねん」
 
夕日でちょっと顔を赤く染めたアイツが
玄関に座っていた。
 
「・・・どしたん」
 
「・・・」
 
「何。」
 
「・・・ホ、」
 
「ほぉ?」
 
「ホワイトデーや!!んじゃな!」
 
投げつけられたプレゼントをキャッチして
アイツを見るともうそこにはいなかった。
 
・・・なんやねん。
あ、メモはいってるわ。
 
『蔵子へ、チョコうまかったで、
 これはオレからのお返しや、ごっつうまいで。
 ユウジ』
 
下手くそな字で書いてあるメモを
ポケットにいれて
リボンを開ける・・・
 
 
「うっわ・・・すご。」
 
それは
フォーンチューンクッキーだった。
薄いクッキーの中に
紙が一枚一枚入っている。
 
 
「・・・んじゃさっそく・・・
 うまっ」
 
中には小さく畳まれた紙が入っていて
開けてみる。
 
 
「・・・っ・・・」
 
 
 
 
 
 
 
『オレもスキかもしれん』
 
 
 
 
その紙を筆頭に
全部のクッキーを食べて紙を開ける
 
『やっぱスキや』
 
『1ヵ月たったけどまだええか?』
 
『スキ』
 
『付き合うてくれ』
 
アイツの愛が紙とクッキーいっぱいに広がっていて
食べる度に涙がこぼれた。
 
 
 
 
「・・・泣くなや」
 
「・・・!!ユウジ・・・」
 
 
「・・・まだあの告白有効か?」
 
「・・・」
 
「無視かいな」
 
「・・・すき」
 
「・・・うん」
 
「返事ないと思ってた」
 
「すまんな・・・」
 
「でも無理、1ヵ月で変わることはない」
 
「・・・ありがとな」
 
「すき」
 
「・・・おれも・・・すきや」
 
 
 
 
 
 
バレンタインデーとホワイトデーの間は
女子の試練なのかもしれない
 
その試練を乗り越えた者のみ
与えられるものがあると思う。



[ 6/10 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -