第2話
小鳥の囀りが聴こえる。
気だるい身体を起こしてシェイナは目を擦る。
「・・・朝か」
どうやら疲れて昨夜は熟睡してしまったらしい。
「・・・ブレッドのやつ」
自分が熟睡していたという事は彼は一晩中護衛をしていた事になる。
自分も疲れているだろうに、そういう男だということを彼女は知っている。
ふと、甘くていい匂いがした。
下では朝食の用意が出来ているらしい。
このままではブレッドが起こしに来る。
「朝一番にあいつの顔を見るくらいなら、自分で起きた方がマシだ」
そう呟くと、シェイナは黒い軍服に身を包み、朝食を取るべく部屋を出て行った。
* * *
下へ降りるともうすでにみんな集まっていた。
「おはようございます、クイーン」
「お前は、その呼び方はやめろと何回言えばわかるんだ?」
「さて、なんのことやら・・・」
シェイナの睨みを軽くかわしてクレークはパンを切り分ける。
「おはよう!シェイナ!」
「・・・おはよう、アシル」
アシルと話す時だけは笑顔を忘れない。
シェイナは椅子に腰掛けて優雅に新聞を読んでいる青年に声をかける。
「―――随分と早起きだな」
「・・・まあな」
「・・・昨夜」
「よく眠っていたな」
ダンッ、とテーブルを叩いてシェイナはブレッドにナイフを投げつける。
・・・が、見事にかわされナイフは壁に刺さった。
「・・・危ないじゃないか」
ブレッドは新聞から顔を覗かせると気だるげに言った。
「―――ふん」
腕を組んでそっぽを向くシェイナとブレッドをクレークが宥める。
「まあまあ二人とも。はいシェイナ」
良い匂いと共にできたての朝食が運ばれてきた。
突如割って入ったクレークに抗議の目を向けるが彼は相変わらず愛想の良い笑みを浮かべているだけだった。
「早くしないと冷めちゃうよ?」
奥からティーポットを持ってきたアシルにまで言われてしまってはしょうがない。
仕方なくパンにかぶりつく。
パンを平らげ紅茶を飲み始めた所でようやくクレークとアシルが席に着いた。
「まだまだあるよ」
「目の前にあるんだから知っている」
「そうだったね」
そう言っている間にもクレークはなかなか朝食に手をつけようとはしない。
それを訝ってシェイナが目を向けるとにっこりと微笑んだクレークと目があった。
シェイナは「最悪だ」と思った。
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