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―――2年前。
当時、この国は荒れていた。
王宮こそ穏やかではあったものの、人々の暮らしは貧しく、戦の絶えない国であった。
隣国との領土争い。
それらはまるで終わることをしらないかのようだった。
シェイナ第1王女、15歳。
幼さの残る風貌とは裏腹の剣捌き。
その姿には男女問わず誰もが見とれ、彼女は"勝利の女神"として民衆から崇められていた。
当然、王宮内にはそれを良く思わない者たちもたくさんいた。
その日、シェイナは見た。
戦に勝利し、今まさに戻ろうとしている城から火が上がり、煙が昇っているのを。
逃げ惑う民衆を掻き分けながら馬に跨がり城を目指してブレッドと共に駆け抜ける。
しかし、待っていたのは残酷な真実だった。
留守を狙って同盟関係にあった隣国が攻めてきた。
そしてあろうことか、首謀者は隣国に嫁いだ実の娘にしてシェイナの異母妹だった。
国王は自らの娘に裏切られたのだった。
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