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スッと頭を下げると足早にクレークはシェイナ達の元へと向かった。


「急ごう。外に馬車を待たせてある。今は急いで屋敷に帰った方が良さそうだ」


一向は足早に馬車へと乗り込んだ。









馬車へと乗り込むと早々にクレークがシェイナに頭を下げてきた。


「―――シェイナ、ごめんっ」


「・・・クレーク?」


白いシルクハッとを片手に頭を下げてくるクレークの行動が理解できない。


むしろ謝らなければならないのは騒ぎを起こした自分ではないだろうか。


「・・・謝られる意味が分からないのだが」


「謝っただけじゃ足りないよ!!どうしよう・・・ああ、僕はどうすれば・・・」


「落ち着け。一体お前が何をしたと言うんだ?むしろ誤るべきは私だろう?」


「違うよっ・・・!!僕、シェイナに命令しちゃったじゃないか・・・ああ、・・・すまない。なんなら一発殴ってくれたって構わないよ・・・」


そんなクレークを見てシェイナは軽く肩をすくめた。


これが彼の素だという事を知っている。


「全く」


呆れ交じりに彼女が軽く息をつく。


そして、がらりと語調を変えて彼女はルビー色の瞳を細めた。


「―――ラスカベルが生きていた」


その一言に、馬車の中の空気が一変張りつめたものになる。


「―――それには俺も驚いた。奴は死んだと思っていたんだがな・・・」


窓辺に肘を付きながらブレッドは空を睨む。


「・・・その、ラスカベルってだれ?」


きょとんとしたラセルの表情に3人は目を丸くした。


そうか、知らないんだったと思い直してクレークはラセルに向き直る。


「彼―――ラスカベルは」


「―――元、軍人だ。私とブレッドと面識がある」


シェイナはそっと目をつぶる。


「先の戦で戦死したと聞いていたが・・・顔を変えて生きていたのか・・・」









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