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「―――何故、お前が生きている!!何故っ!!」
キッとシェイナは彼を睨み付ける。
「答えろっ、ラスカベルッ・・・!!」
ラスカベルと呼ばれた公爵は口端をゆっくりと上げる。
「―――貴女が生きているからですよ、シェイナ王女」
「え・・・―――」
「貴方を殺すまで、私は何度でも蘇る。例え・・・この身が滅びようとも」
シェイナは手を伸ばしかけて、止めた。
前方から見知った者が駆けてくるのを目撃したからだ。
「―――シェイナっ!!」
「アシル・・・」
名を呼んでから、しまったと思ったがもう遅い。
既にラスカベルがアシルの姿を捉えていたからだ。
「くせっ毛の赤髪・・・まさか」
「―――公爵っ!!一体何をなさっているのですかっ!?」
「・・・シャルロット殿」
普段からは想像できないような真剣な表情でクレークはラスカベル公爵を睨みつける。
「我々は女王殿下からのご命令でここにいるのですが・・・?」
「女王殿下の・・・?・・・はっ、はははっ・・・まさか噂は本当だったとはね。―――女王殿下の犬になったのか、シェイナ王女」
「くっ・・・!!貴様等に・・・」
「シェイナ。―――下がって。僕の言う事が聞けないの?」
ギリッと歯噛みしながらシェイナはクレークに言われるがまま数歩後ろに下がった。
その方をブレッドがしっかりと抱く。
その横にはアシルもいた。
それを見てクレークは内心ほっとする。
「申し訳ありませんが、どうやら我々の用件は済んだようですので下がらせていただきます」
「ああ。それと・・・飼い犬のしつけはちゃんとしておいた方が良い。特にこいつは我々にいつ牙を向くとも限らんからな」
「分かりました。ですが、この事は女王殿下にご報告させていただきますよ?」
「構わない」
「―――では、失礼いたします」
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