W
* * *
「―――さて、そろそろ本題に入ろうか?」
紅茶を一口飲んでから、クレークは口許に薄く笑みを浮かべて話を切り出した。
「いや、さても何も話を脱線させていたのは貴様だろう?」
「え?何がだい?紅いドレスの話は本当だよ。あれ?全然脱線してないね」
「しかしだな、何故私がドレスなど・・・」
「僕が女装するわけにもいかないし・・・君の代わりっていったらブレッドしかいなくなっちゃうけど・・・いいの?」
ゴフッとシェイナは紅茶を吹きそうになった。
慌てて首を横にぶんぶん振る。
「―――駄目だっ!!こいつが女装するくらいなら私がそのドレスを着てやる!!」
「・・・そう?なら、そっちは君に任せるよ。ブレッド君は見張りでいいかい?」
「・・・・・・ああ」
ブレッドは何ともいえない顔で一つ頷く。
「でも僕、ブレッドの女装姿も見てみたかったなー・・・」
少しだけ残念そうにアシルがそう呟いた。
それを聴いてブレッドはふいっと顔を逸らした。
「・・・・・・こいつの女装姿など・・・二度と御免だ」
「・・・・・・俺だって好きでやったわけじゃ・・・あ、いや、何でもない・・・」
クレークとアシルはクスリと笑った。
「まあまあ、女王からの依頼がただの見張りだけで良かったじゃないか」
「・・・ただの見張りね、何か裏がありそうだがな」
「いやー、楽しみだねー。パーティー」
「・・・おい、人の話を・・・」
「アシルー、君は何を着ていくー?あ、この前買ったあれでもいいね」
「うーん?どうしようかなー・・・。でもいつのもやつも結構気に入ってるんだよねー・・・」
完全に二人の世界に入ってしまったので放っておくことにした。
チラリと隣で紅茶を飲んでいるブレッドに視線を送る。
「・・・ん?」
「いや・・・。―――お前は、どう思う?」
コトリとカップを置く。
「・・・そうだな。見張りだけなら俺達は必要ない。目的は他だろうな」
「・・・行くか?」
「決まっているだろう?気付いているのならこちらから乗ってやるというのも一つの手だ」
「・・・そう、だな。ああ、それもいいかもな」
そう呟いてシェイナは視線をクレーク達に向ける。
クレークとアシルは何を着ていくかで話が盛り上がっている様だ。
シェイナはそっと目を伏せる。
―――もうすぐだ。
[ 10/15 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
TOPへ
下記は宣伝です。