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「なまえお姉ちゃん、お出かけしましょう!」
「え?」
にこにこと笑いながらイタちゃんは私に言った。
寝ぼけた脳内ではその言葉を反訳するのに少しの時間を要した。
「一緒に、遊びに行きたいです」
「お姉さんに任せなさい」
しゅんとしたイタちゃんを抱きしめた後、私は出掛ける支度を始めた。
「どこいこうか?」
「えぇと、公園に行きたいです」
「公園ね、了解」
タオルケットで包んだイタちゃんを自転車のカゴに入れ(前に学校から帰るときもこれだった)、私達は出発した。
目指すは休日で賑わっているであろう少し大きい公園だ。
「ヴェー!いっぱい人がいる!」
「そりゃぁ勿論」
心なしか驚いているイタちゃん。
そっか、基本的にお家にいるからなぁ。
私もゆうきも家から出そうとしないし。
「で?何して遊ぼうか?」
「あ!あれです!あれ!」
イタちゃんが指さしたのはブランコ。
イタちゃんを抱えたまま座り、漕ぎ出す。
ゆっくり、ゆっくり。
徐々に大きく揺れるブランコにびっくりしながらもイタちゃんは笑っていた。
「楽しいですー!」
「そうだね」
「ずっと、ずぅっとこんな風にしていられたらいいのになぁ」
「・・・そうだね」
それからは、幼児特有の好奇心と運動能力、体力のお陰で大分疲労した私をイタちゃんを迎えにきたゆうきが発見したのであった。
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