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今日は、寝坊した。
朝ごはんを食べる暇すらなくて、慌てて学校に向かって自転車を漕ぎ出す。

だから…気がつかなかったんだ。


イタちゃんのお弁当を忘れたことに…!!



気がついたのはなんと学校についてからだった。


「あ、ぁぁぁあああああ!!!」

「え、うるさいんですけど」

頭を抱えて叫んだ私にさらりと溢した兵助はあとで殴っておこう。


「お弁当、忘れた…!」
「おま、弁当忘れたくらいで涙目とかww」
「てめぇまじであとで覚えとけよ」

さっきから一言多いんだよこの豆腐が。


「豆腐?褒め言葉だ!」
「うるせぇよ納豆菌」
「………っつ!!」


まさにorzの格好になった。
ふん、ざまぁ。


「とりあえず連絡しておこう」

お母さんがまだいるはずだ。
携帯をとりだして電話をかける。


[もしもし]
「あ、お母さん?私今日お弁当わすれちゃって…」
[もうイタちゃんに届けてもらうようにおねがいしたわよ]
「>はぁぁぁああ?!」
[うるさいわよ]
「あ、サーセン…じゃなくて!一人で?ねぇ一人で?!
浚われちゃうよ?!あの子可愛いんだから誘拐されちゃうよ?!私ならなら確実に誘拐するね」
「何の宣言?」
「おまわりさーん!ここにペド野郎がいます!」
「黙って八に三郎!yes ロリショタ no ペド野郎!」
「「マジで何の宣言?」」
[まぁ、もうおうち出ちゃってるし…]
「誘拐されたらお母さんの所為だからなぁぁああああ!!」

ぷつりと切れた携帯電話を握り締める。


ふるふると震えている私をいつものメンバーだけではなく周りの生徒も不思議がってみている。

「…あ、ぁ、…こんなところでのんきに授業を受けている場合なんかじゃない…
私があの子を守る!!」
「え、どこ行くのなまえ」
「私が守らなくて誰があの子を護るんだぁぁあああ!」


姫子に押さえ込まれて行動が押さえ込まれる。
畜生!
このメンバーの中で一番私が非力なんだぞ!

「離せグラマー!」
「え、もしかしてこれ褒め言葉?」
「とにかく離して!あのこを迎えに行かなくちゃ「うるせぇんだよ糞が」え?」

姫子の腕から逃れようと頑張ってもがいていたら突然ゆうきの声がした。
そして

「ヴェー!なまえお姉ちゃん!お弁当届けにきたよ!」
「ぁぁぁあああああああ?!?!?!??!」

ゆうきの腕に抱かれたイタちゃんだった。





「お弁当忘れちゃだめでしょ!」
「…ごめんなさい」

教室の真ん中。
ゆうきチョイスのふりふりの可愛い服を着て、机の上に立って私に説教をかますイタちゃん。


「え、あのこがなまえが言ってた男の子…」
「まんま女の子だよね…ぅわ…なまえは何を勘違いしてるんだ?」

勘ちゃんと三郎が話すひそひそ話が聞こえてくる。
うるせぇよ黙れ

「聞いてるんですか?!」
「あ、ご、ごめん!」

怒ってくるイタちゃん可愛すぎる。

「てかさ、この子がなまえが言ってた遠縁の子?」
「…いつも弁当を作ってくる?」


んーと考え込む八と雷蔵。


「「結婚してください」」
「くだばってください竹谷変態に不破変態」

イタちゃんにプロポーズした二人に返されたのはゆうきの冷たい視線と言葉。
わぁ☆本当にうざったそうだ。

とりあえず…

「ごめんねイタちゃん。
寝坊しちゃったから…」
「…もう、しかたないですねぇ」


抱き上げて頬ずりをすれば、ちょっと照れながらも頷いて許してくれた。

「えへへ。せっかくだから今日は一緒にお昼食べよっか」
「え、いいんですか?じゃぁぼくなまえお姉ちゃんの鞄に隠れてますね」
「…そうだね、そうしたほうがいいな」
「わぁい!今日は一日なまえお姉ちゃんといられるんだね!」
「もう、イタちゃんってば。可愛いなぁ」
「ぅわわっもう!恥ずかしいですよ!」

可愛すぎるだろイタちゃん。


「え、なにあれ。いつも受け受けしいなまえが攻めに見える」
「ちょ、ビバ百合にしか見えないw」
「姫子も勘右衛門もうるさい。会話が良く聞こえないでしょ」
「大丈夫さ、なんだかんだでなまえは襲い受けだ」
「おほー混ざりてー」
「…なにこいつら」

なおもイタちゃんと笑いあっていたら急に頭をはたかれた。

「…イタちゃんがいるなら俺も食いにくるからな」
「は?」
「たまにはいいだろ」
「…しょうがないなぁ!」


「え、気づかない?気づかないの?」
「おっほーゆうきのツンデレきたw」
「ぅわなにあれ新しいネタ?新刊にしていいの?」
「バレたら半殺しかなぁ」
「ばれなきゃいい精神でのりきれ」





「よし!じゃぁ今日はイタちゃんとゆうきも一緒に食べるからな!」
「ぅぅあはい!」
「もちろんいいとも!!」
「?変な奴ら。何どもってるんだ?」




とりあえずお昼が楽しみだな!

イタちゃんが入れるように鞄に隙間を空けなくちゃ。



「あ!はじめましてっ!ぼくのことはイタちゃんって呼んでくださいっ」

「「「「「「「喜んで☆」」」」」」


イタちゃんのショタキラーマジパネェ。
兵助確かヲタクじゃなかったはずなのに。



まぁヲタクのほうが人生楽しめるよね☆




お昼。

散々鞄の中身を聞いてくる先生達をなんとか誤魔化して授業を進めさせるの大変だった…!
イタちゃん鞄の中で動くんだもんよ!

「っ、姉貴!」

突然教室に駆け込んできたゆうき。

「どうした?」
「イタちゃんを抱えて逃げろぉぉおおお!!」
「何事?!」
「食満先輩が…食満先輩が…くる!!」
「イタちゃんを匿え皆なぁぁあああああ!!!!」

「「「「「「「りょぉw解ですwww」」」」」」



ゆうきの報告に叫べばよく理解していないイタちゃんを鞄に押し込んで駆け出した。


「屋上で会おう!」
「東塔な!」
「あとで絶対行きますんで!」
「イタちゃんを頼んだぁぁあああ!」


彼らの背中を見送り、構えるは警棒とヌンチャク。
食満先輩にバレたということは先輩達全員にバレたということ。


「…なんでばれた?」
「…今日一緒にお昼食べない理由言わないと、剥くって綾部に言われて…」
「……お前はよく頑張ったよ…」

立花先輩からばれたか。


「…け……けどんどーん!」


「…きたな」
「来たね」

さて、暴君含む先輩達をのしてからゆっくりご飯を食べに行くとしよう。



「!お前ら!そんな物騒なもんもってどうした?」
「うるさいです潮江先輩」
「なんだ、剥かれてないのか」
「立花先輩もうっさいですわ」
「おい!可愛いお前らの遠縁の子は?!」
「うるせぇ黙れショタコン先輩」
「口が悪いななまえ!どうせ会わせまいとしてここにいるんだろう!
だったら話は早いな!私が相手するぞ!」
「つか中在家先輩は?!」
「今日は図書当番だぞうだ」
「こいつらの良心がいないぃぃいいいい!」
「ちょっと!失礼だななまえ!私がいるじゃないか!」
「ならこいつらを止めてこいよ!」



じりじりと暴君との間合いを計りながら先輩達に講義する。

「こないなら私からいくぞ!」
「かかってこいや暴君がぁぁぁあああ!!」
「この間食われた私の饅頭の恨み晴らさでおくべきかぁぁぁぁあああ!!」





こうして私達のイタちゃん争奪戦のゴングが鳴ったのだった。




イタちゃんの入っている鞄を揺らさないように走りながら東塔を目指す。
たぶん先輩達は全員なまえたちの所に行っている筈だ。
あいつら強いから大丈夫だろうけど心配だなぁ。


「勘ちゃん、もうすぐつくよ!」
「うん!」


とりあえず今は頼まれたイタちゃんの安全を保障しなくちゃ!


「飛び込め!」

先に行っていた鉢屋が扉を開けてくれたので姫子、八、雷蔵、兵助、おれの順にスライディングで入る。


息を整えてからここから見えるなまえたちのいる教室を除けば、全員が胃を抑えた土井先生に叱られている彼らが見えた。

そのうしろにはひっくり返った机があったりとぐちゃぐちゃな教室。


うーわー。
あれ片づけるの誰だろう。


あ、先輩達が動き出した。

先輩達が片づけるのか。


あ....なまえとゆうきが舌だしてら。


食満先輩が怒った。


また土井先生が怒ってるし。


「ヴェーくるしー」
「あ!ごめんねイタちゃん。今出すね」



鞄に押し込んだまま忘れていたイタちゃんを出す。


「#NAME1##お姉ちゃんは?」

「今来るよ」


走って教室を後にしている二人。

お弁当はあの二人が着てからの方がおいしく食べられそうだな。







その後。
息を切らした二人が屋上に駆け込んできて、みんなでお弁当を食べた後、なまえが持ってきていた膝掛けと枕(なまえが学校に持ってきてそのまんま)を使いみんなで青空の下お昼寝をした。










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