一部 初の対面






馬車に乗って、新しい兄弟はやってきた。


正直な話、ジョナサンが彼を受け入れられるのか心配ではあったが、思った以上に彼は新しい兄弟が増えることを喜んでいた。


「兄様、嬉しそうだね」

隣で馬車が止まるのを待ってる兄に話しかけると、彼は上機嫌に応えた。

「勿論、きっと、真も気に入るよ。そんな気がするんだ」

馬車から飛び出してきた少年の金髪が日差しに反射して煌めく。

ジョナサンが駆け出して、真は手を引っ張られるままに少年の元へと駆け寄った。


「キミが、ディオ・ブランドーだね?」

「そういう君は、ジョナサン・ジョースター」


その会話が交わされたあと、ディオと呼ばれた少年が真の姿を捉えた。

「…!」

その瞬間に彼は一筋の涙を零して、真に微笑みかけた。
なんの打算も計算もない優しい笑顔だった。


「君は、真・ジョースターかい?」

「うん…。アナタの兄弟になります。よろしく、にいさま」


おずおずと手を差し出す真の手を握り返して、ディオはジョナサンに向き直る。先程の笑顔が嘘なのかと思うくらい勝ち気な表情で、ジョナサンを見据えた。


それからの場面は、みない方がいい気がして、ジョナサンに敷地内で花を摘んでくることを告げて駆け出す。






久し振りに花輪でもつくって兄様に上げよう。


そう決心した真の後ろにはダニーの姿があり、真が安全であることを確認するかのようにまわりを見て回っていた。


自然豊かなジョースター家の庭の中でお気に入りの花畑の中に座り込み、真は花を摘んで輪っかに編み込み始める。


「ダニー、見て、素敵な花輪ができたよ」


この世界に来てから何度も練習した花輪。
初めてジョナサンとジョージにあげたときは歪なものであったのにとても喜んでくれた。

今真がダニーに見せつけるように差し出している花輪は色とりどりの花を使った綺麗な花輪で。
それを見たダニーは嬉しそうに尻尾を振ってみせる。

「ありがとうダニー!嬉しいよ」

ジョージと、ジョナサンと、それから今日から兄弟の仲間入りしたディオへと3つの花園を作成し終わったときには既に夕方になっていた。

そろそろ戻らないとジョナサンが迎えにくる頃だろう。

「ダニー、帰ろうか」

「きゅぅん」

真に撫でられてダニーは嬉しそうに鼻を鳴らす。
歩きだした真の後ろについて、ダニーも歩き出した。











「兄様、にいさま、お父様、これ、あげます」

館に到着したときは既に夕食の時間だった。
食卓につきながら真は家族にそれぞれ作成した花輪を差し出す。

「ありがとう真。とても綺麗だね」

「ありがとう!これでむっつめだね!これもドライフラワーにしなきゃなぁ」

「…ありがとう。嬉しい、本当だ」

それぞれの反応に真は嬉しそうに笑顔を浮かべる。



「喜んでもらえて嬉しい!ありがとう!」


この人達の家族になれて良かったなぁ。









何時も通りのベッドの中。

兄様に抱き締められて今日も眠りにつく。


「兄様、おやすみなさい」

「おやすみ、真」

暖かい兄様の腕の中は、多少の苦しささえ我慢すればとても快適なものだ。
目蓋を閉じれば、もともと寝付きのよい私はあっという間に眠りについた。







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