一部 家族が増えます










あれから数ヶ月。
残念ながら私はジョースター家の敷地外に出して貰えません。
ジョナサン…兄様は学校だなんだと出ているのにね!外の人達には病弱であると言伝してるらしいです、はい。こんなに元気なのにね!
兄様が居ないときは非常に暇なのにどうしましょうかねぇ?

「兄様、暇なのですが」
「じゃあ僕の部屋の本を読むといいよ」
「あ、はい」

学校に通いたいという要望は口に出す前に潰されてしまいましたよちくせう!


あ、そういえば、私戸籍が男で登録されてしまったらしいんですよね。これには深い理由がありまして、なんと兄様のせいなんですよね。別に深くなかったね浅かったわ。
男だったら変な虫が少ないだろうということで、まさかの男登録。
お嫁さんに行きたいなんてそんな自殺行為は口にしませんけど!
でもこの時代の服って可愛いじゃん!着てみたいじゃん?!


「あ、明日から新しい家族が増えるらしいよ」
「?メイドですか?」
「ううん、兄」
「ふぁ?!」
「何今の可愛い、もう一回」

ただいま兄様の部屋のベッドで抱え込まれたままゴロゴロなう。
寝間着も兄様のお下がりです。ちょっとでかいよね!泣きそう!

「新しい兄様ですか?」
「うん、名前はね、確かディオ・ブランドーだったかな」
「ディオ・ブランドー、なんだかお酒みたいな名前ですね」
「ブランデーみたいな?」

兄様はくすくすと笑って私の髪の毛に口元を埋めた。
ディオ・ブランドー、彼が来ることによって、ジョースターの血筋は何代にも渡って彼に苦しめられる。
でもそれは原作通りなら、だ。

ここに私がいる以上、きっとなんらかの異変は起こってしまうのではないかと推測している。


すぅすぅと、兄様の寝息が聞こえてきた。

明日、私もきっと彼に会わせて貰えるのだろう。でなきゃ兄様が新しい人物の名前を私に教える訳がないし。

くわ、と欠伸をかみ殺して、私も瞼を閉じた。





さて皆様、快晴です。

いつもの通り不格好なぶかぶかの兄様のお下がりを身につけて、私は兄様の横に立っている。
兄様とは身長が優に10センチは違うから本当に不格好なんだけどなぁ。
でも何度兄様に訴えても変わらないのでこれはもう諦めの境地に達した。今までの経験によると彼は私を自分と同化するように仕向けているんだろう。彼の服、彼の本、彼の日常品、彼の部屋、彼のベッド。今ではすっかり彼と同じ香りさハハハハ。

確かディオ・ブランドーさんは馬車に乗ってくるってお父様が言ってたな。この馬車の音に乗っているのだろうか。


ガラガラと音をたてて馬車がやってきた。いいなぁ、私はまだバスに乗ったことない。


兄様が、馬車が姿を表した所で、バルコニーから馬車の元へと向かった。


兄様に手をひかれるように馬車の方へと歩いて向かう。
視界の先はほぼ兄様の背中だけれど、ちらりと金髪が光った。


私の手を離して、兄様は金髪の少年に駆け寄り、笑顔で手を差し出した。

「君はディオ・ブランドーだね?」
「そういう君は、ジョナサン・ジョースター」





ああ、物語がはじまる。







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