V








簡単に持ち上げられるその身体をそっと抱き上げれば、肩口に少女の顔が埋められて、細い腕が首に回される。


子供の安心感を得るための普通の仕草だろうに、何故自分の胸がこんなにも高鳴っているのだろうか。
レオンには分からなかったが、きっと初めて警官らしいことをラクーンシティに来てした為だろうと考えた。




嗚咽も収まってきただろう少女に、自己紹介をするために口を開いた。

「俺はレオン・S・ケネディ。君は?」

ぽんぽんと背中を叩いていた手を頭へと回し、黒髪の中へと差し込んでくしゃりと撫でる。ぐすりと鼻を啜る音がして、少女が顔をあげた。

「あの、すみません、泣きついて…私、真、真・祇園…」

赤く腫れた目を細めて笑う姿は無理に笑っている様にしか見えなくて、その痛々しい姿にレオンは目を細めた。


無理もないだろう。成人した自分でさえこの惨状には未だ慣れることは出来ていないのに。10、12歳くらいの少女が慣れるわけがない。ここまで生き残って、今レオンに出会えたことですらキセキなのに。


また、このたどたどしい英語から、ここラクーンシティには観光かなにかで訪れたのだろうと推測したレオンは、真を抱き上げたまま質問を投げかけた。


抱き上げたままの理由は消して手放し難いというわけではなく、人肌に振れていた方が安心できるだろうという心遣いからである。
消して手放し難いというわけではない。

「OK、 真。君は何歳だい?あと、どうやってここへ?」

年。身体的年齢の方が怪しまれないだろうか。

「14…。バッドで足を折ってきた…」
「14…14?!日本人なのか?!」

14って結構あれだと思ったけど、それでもこの反応か。何歳に見えていたのだろうか。

こくりと頷く真を見てレオンは、なるほどこれが噂に聞く東洋の神秘なのか、と謎の感動を味わっていた。

そして、真の戦術を聞いてなるほど、と感心する。


日本人なら銃に馴染みは無いだろうから下手に銃に触れず、低い身長を生かした戦い方をしてきた真に素直にレオンは感心し

「よく、頑張ったな」

と微笑んでみせた。




またじわりと涙の滲んだ目元を見たレオンは笑いながら少女の頭を自らの肩口に押し付けた。









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