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寄ってくるソレ、ゾンビ達をいちいち倒していてはキリがないし、何より殺しきれなくてあっという間に囲まれてしまう。
バッドを振り回して真が狙うのは両足の骨である。
痛覚が無いにしても、その身体を支えているのは両足の骨であり、へし折ってしまえば身体を支えることが出来ずに地面に倒れ込む。
倒れ込んでしまえば、ただでさえ遅い動きは更に遅くなって、もう真を追いかけることは出来ない。

途中、炎をあげているパトカーを見た。

レオンとクレアの主人公二人が接触したのだろう。

ああ、早く警察署へ行こう。早く、速く。


持っているバッドは既にボコホゴで、バッドを振るっている柔らかい掌は皮がめくれてしまい、長い距離を走ってきた両足は運動不足が祟ってガタガタだ。
それでも、期待を込めて真は走った。こんな所で死んでたまるか。

見覚えのある道。


テレビ画面の中の映像だけれど、一応覚えている。
もうすぐ、もうすぐ警察署だ…!


警察署の玄関前の階段を昇り、真はガラス戸を開く。
そして、主人公二人のどちらかが倒したのだろうゾンビが死んでいる道を探して歩き始めた。






「…ん?」


小さくも足音が聞こえる。それと、カラカラと何かを引きずる音も。
その音に覚えのないレオン・S・ケネディは首を傾げた。
この部屋に来る道のゾンビは全員頭部を破壊してきたから、新手だろうか。
ガチャリと安全装置を外したベレッタを手に、ドアのドアノブに手をかける。足音は近い。
さっさと始末してしまおう。

ぐ、とドアを開けようとしたとき、声が聞こえた。


「ここ、どこ…?」

か細い小さな女の子の声、続いて鼻を啜るような音も。

レオンは新人警官だ。まだまだ正義感に溢れているし、そういうことをしたくて警官になった。
そんな人間が、泣いているだろう子供を前に身の危険があるからといって放っておけるかと聞かれれば、答えはNOだ。

「誰かいるのか?」

ギッと開けたドアの先の廊下には、自らの胸元までしか無いだろう身長の少女が立っていた。黒髪な所を見るとアジア系だろうか。うるうると涙が伝っている幼い表情が、生きている人間に出会えたことによる安心感からか、ゆるゆると口元があがっていく。

「よかった…!」

上がる口元、流れる涙。
笑顔で泣いているという不思議な表情の少女をだきしめて、一度部屋の中へ引き入れた。








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