report5


ハクタイの森には森の洋館というホラースポットがある。

その手のTV番組では幽霊が住んでいると言ってたり、地脈の流れがうんたらでパワースポットだと言ってたりしていたけど、
実際の所やっぱり自分で体感するしか分からないことの方が多いな。と斎は思った。

だからといって行きたいなんて思うこともなかった。


斎は今ハクタイの森に来ている。


高い木々が落とす影の下、ハクタイシティに向けて歩みを進めていた。



森の中は野生のポケモンだらけで連戦続き。
アブソルも疲れを見せだしたからボールの中に閉まっている。


どのくらい歩いたか。
たぶん森の中心に差し掛かったあたりで木々の影が薄くなった。

この先に木々の葉が拓けた所があるのかもしれない。



さらに歩くと予想通りに拓けた場所に出た。

上を見るとお昼過ぎ、傾き始めている太陽が見えた。


この森には不思議な苔生した岩があると聞いたことがあるのを斎は思い出した。
それがこの岩なんだろう。

ポケモンの進化に関係しているらしいが詳しいことは忘れてしまった。

触ってみると雨が降った後でもないだろうにしめっている。


「大きな岩…周りは土ばかりなのにこの岩だけなんでこんな森の中にあるんだろう。」

そう呟いた時、後ろの茂みが音を立てて揺れ動いた。

人の踏込の音も聞こえて誰か来たのだろうと振り返ると、それは斎もよく知った人だった。


「あれ、ジュン?」

「斎!おまえ、何でこんなとこまで来てるんだよ!」

ジュンは茂みを掻き分けながら言った。


「ナナカマド博士、すごく心配してるぞ。」

「ん、ごめん。後で連絡しないとね。
    そんなことより博士のポケモン平気だった?」

「ああ。ほらこの通り。」

ジュンは持ってるボールを見せびらかすように前に突き出した。


「ヒコザル… あ、今は進化してるからモウカザルか。博士の鞄は見つかったものの、斎はどっか消えちまうし…。
    博士からヒコザルもらった後ここまで探しながら来たんだぜ?」


フタバからここまで結構の距離があるはずだ。
ジュンの足の速さには流石としか言いようがない。


「すれ違わなくて良かった、この森虫多くて…アブソルが疲れてるから助かるよ。」と斎は苦笑しながら言った。

「なんだよ、ハクタイに行くのか?」

「一応そのつもり。」

「そうか。じゃあ暗くなる前に森抜けようぜ!」






ハクタイシティ


「随分抜けるのに時間がかかったね。」


そう言った斎の後ろには、ハクタイの森が広がっていた。
ジュンのナビで何度か道に迷いかけたせいもあって、あたりはもう暗くなっていた。

流れで旅に出たのはいいけどなんとなく気だるい気がして、斎は早く休みたかった。


外で過ごしていると面白いものが見れるけど、やっぱり歩いてばっかりだと疲れてしまう。

「ハクタイまであと少しだね。頑張ってアブソル。」




ポケモンセンターにつくと、アブソルの疲労のことも考えて預けることにした。

アブソルが回復してもらっている間に博士に旅に出ていることを伝え、他に何もすることがなくて暇なので
とりあえずそこらへんにあった長い椅子に座らせてもらう。

ポケーっとただ座っていると、やたらポケモンセンター内に人が少ないのに気づいた。

いくら日が欠けていることを考えても斎はおかしいと感じた。
フタバと比べたら人口が少ない町ではないだろうに。
この町の人たちは町から出たがらない引き篭もりなのだろうか?

たまたまそういう時に来てしまっただけかもしれない。と斎は深く考えることを止めた。

またしばらく経つと目の前の長椅子に子供がずらずらとやってきた。
三人の子供たちは一応トレーナーのようでポケモンを連れている。
それから、子供らしい大きな声で話し始めた。

「なあなあ、最近ポケセンにくる人少なくねー?」

「何だよ おまえ知らないのか? 最近ポケモンが盗まれる事件がいっぱいおきてんだ。
   母ちゃんに教えてもらわなかったのかよ?」

「んなの知るか! ポケモン泥棒が現れたら逆に倒して賞金貰おうぜ!」

「おまえには絶対無理だろ。」

そんな他愛無いことを話している。

すぐにこの町から出て行く斎には関係ない話だけど、なんとなくその話に引っかかるものがある気がした。
気がするだけだ。

斎は少なからず覚えていても損はないだろうと記憶に留めておくことにした。



「斎ー。」


用事を済ませたのかジュンがポケモンセンターに戻ってきた。

「やっぱりこの先207番道路に行くにはサイクリングロードを通らないとダメだって。」

「じゃあどこかで自転車調達しないと。お金ないけど。」

211番道路の方。
テンガン山の北部は地形が複雑な上に無数の大岩が道を塞いでいるから207番道路を通るしかない。

それに個人的な理由でヨスガシティに行きたいからサイクリンロードを避けるのは無理だ。


「そうだな。ここの近くに自転車屋あるの見たから明日行ってみようぜ。金ないけどさ。」






チラ裏設定

ポケモンセンターではポケモンを回復するだけでじゃなくて
簡易宿泊施設や食堂もある設定。
旅してるトレーナーに優しいね。

ただし宿泊施設はトレーナーカードを発行されている人しか使用できない。
もちろん割高になるけどホテルとかも町にはあるよ。

トレーナーカード発行の条件は学校の単位とかペーパーテストかなー
電撃ピカチュウとか資格制だった気がする



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