忍少年と一期一会 12

そう悟った瞬間、忍は我武者羅に暴れまくった。

「あかん…!!」

しかし、男の間接技にしてやられ、忍の抵抗は無力化としていくだけで、何の改善にも繋がらなかった。
―――むしろ悪化しているかもしれない。

きっとこれは昨夜の延長戦―――男が調子を取り戻した事で、圧倒的に忍が不利な状況となった。
忍の首筋に熱い息が吹きかかっただけで、体を硬直させてしまう忍の初心な反応が思いのほか面白かったのか、男は低い声音で忍の耳に囁きかける。

「どうせなんだ。お前も楽しめばいい」
「この阿呆!!そないな事でけへんわっ!!」

「―――おもしれぇよなぁ。興奮すると方言を使うのは癖か…?」
「…っ。ええ、そうですよ。まだ共通語に慣れてないもんでしてね…!!そんな事より、今ならなかった事にできますから、いい加減退いて下さい…!!そういう冗談に俺は免疫がないんですよ!!」

言っておきますが、余裕がなくなると何するか分かりませんからね、俺…。

そう忠告するが、男にとっては子猫が尻尾を立てて威嚇しているようにしか感じていないようだった。
口先を吊り上げ、忍の耳殻に沿ってゆっくりと嘗められて、息を詰める。
男は喉の奥で笑いを殺しながら、忍の首筋に唇を擦り付けながら、終いには音を立ててその肌を吸い上げた。

「!!」

ちくりとした痛みに忍は顔をしかめる。白い肌には赤い花がにじみ出ていた。
それを満足そうに見つめてから、男は他の場所にも己の印を刻んでいく。

時には歯を立て、飴をしゃぶるように舌で嘗める。

「や…めっ……!!」

開発されていない忍の体を、色事には慣れている男が未知なる領域まで巧みに誘導していく。
小刻みに震えていた忍の体が時折跳ね上がる姿を見るたびに、男はからかう様に笑った。
しかし男の眼には、確かな欲情の焔が灯り、本気で忍を喰おうとしている事がよく分かった。

「その気になったか……?」
「あんたアホと違いますか!?」

「残念だ。―――その減らず口が叩けなくなるまで可愛がってみるか」
「ばっ……!!……ぅ……!!」

男は一度首筋から唇を離し、忍の耳元で甘く吐息を零した。

素直になれ、このまま堕ちてこい―――と


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