忍少年と隠忍自重 068

「……やめぃ……」

小さな忍の声に、朝倉が反応した。
稚児をあやす様に、朝倉の指先が忍の首筋を優しく撫でる。

「忍クン。もう少し我慢しててね」
「我慢?―――うちはもう我慢できへん……」

キッと、忍が朝倉を睨んだ。
視線だけで殺せるならば、確実に傷を負わせそうな、凄みを持った殺気だった。
しかし、それを受けても朝倉は涼しい顔でそれを受け流す。

「我慢は得意でしょう?―――忍クン」

お前はいつだって無力で、唇をかみしめて耐える事しか出来なかった存在だ。過去も今も未来も―――そう突っつかれている気分に、忍は強く唇を噛みしめ、咄嗟に『キング』を見上げた。
忍が『キング』を見るよりもずっと前から―――最初から忍をじっと見ていたようで、やはりその表情からは何も読み取る事は出来なかった。

「我慢は……我慢はもうたくさんや!!!!」
「―――ちょっ…暴れないでよ忍クン」

間接を強制的に外し、忍を縛る呪縛を強引に抜け出そうと足掻く。
頭を軸に、忍とその上に圧し掛かる朝倉の体が鈍く回転する。
さすがの朝倉も忍の本気によって苦戦を強いられたようで、顔から笑みが消えた。

「…しょうがないなぁ…」

低く重い声音が落ちたと同時に忍の喉元を、朝倉が締めに掛かった。
同時に忍の四肢全体に全体重をかけ、足を足で絡めて強く捕捉する。

「っ!」

呼吸を遮られた忍が声を詰まらせた。

「が…っ…は…!!」
「―――このまま寝ててもらおうかな…?」
「おい、てめぇもう自分で言った事忘れやがったか……」

忍の脳に酸素が息届かず、視界が真っ白に染まりきる前―――酸素が急に入りこんで、忍は咽た。

「そうだったね、約束は守らなくちゃだね」
「次はねぇぞ……」

「ケホッ……嫌、や……」

駄目ダ…

その間に、無情にも鉄パイプは大きく振り上げられる。

コノママデハ……



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