忍少年と碧血丹心 079

このままでは大変まずい事が起きる…。
忍の中で危険信号が早く点滅しだした。

翔の前髪を掴んで、無理やり自分から引き剥がそうと試みた。
とにかく、もう何もかもが我武者羅だ。
何時までも翔の妨害をしようと動き回る両手に苛立ったのか、翔が小さく舌打ちする。
忍は自分の分身を強く握られた途端、ぴたりとその動きが止まった。

そんなの、卑怯ではないか。

瞬きすらする事無く、硬直した忍の耳元で、どこか苛立ったような翔の声が掠れるように、鼓膜に低く響いた。

「―――邪魔するならそのか細い手ぇ纏めて縛りつけてやる」
「…っ!?」

そんな事をされたら益々自分が不利になる。
しかも自分が悪い事をしているような、責める物言いに忍は絶句する。
少しばかり抵抗に困惑が生じ、それは弱弱しいものへと変化した。
その変化に翔は満足したのか、ちらりと横目で一度忍を見た後口角を吊り上げた。

「―――いい子だ」
「…あんたあとで、覚えときぃ…っ!!」

絶対の拒絶を、その赤い瞳に込めて。
途端にまるで突然スイッチでも入ったかのように激しい接吻を求められ、忍は反射的に眼を強く瞑った。
舌を絡められ、吸い取られる一方、露出した忍の亀頭を翔が親指で強く押し付けられ、その口から悲鳴ではない叫び声が漏れる。
弱い所を痛みではなく、甘い甘い蕩けてしまいそうな熱量を帯びた快楽を与えられ、既に忍の息は絶え絶えだった。

「んんんんっ…!!」

強く後頭部を押さえつけられ、接吻が今までで一番深くなったその瞬間―――忍は果てた。
真っ白い世界が広がり、一瞬にして何かが一掃される。

―――最悪だ

奴と関わったばかりに、最悪の一日となってしまった。

二人もの男にイかされたのだ。

男に、だ!!

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