忍少年と碧血丹心 066

「ぁああ”…うっ!!や、…めいぃいっ!!」

前へ進もうとするかのように、知らずの内に力なく両足が動く。
爪を立てるほど拳を握り、それは既に白を通り越した青へと変わりつつある。
冷や汗を滲ませて、ただこの現状を否定するように顔を左右に振った。
だが、そんな事をしても男の愛撫の手が止まるはずも無い。
まるで女に施すような繊細さ―――けれど急性に快楽を植えつけようと、薩摩の固い手が与える刺激、薄い唇が時折牙を除かせて与える口付けが止まることは無かった。

薩摩はただ無言になった。
人をおちょくるような小言も、茶化しもなくなっていた。

これが冗談だと、何故言わない。

単なる薩摩の暇つぶしでしかないはずなのに、黙って忍の感性を高めようと時間を掛けているのだ。
まだ自分を虐め足り無いと―――そう言いたいのか。

「は…っぅ…っ!!」

身を固く、尚も逃れようと足掻く体ごと、薩摩は覆いかぶさって、終いには忍の体を反転させる。
仰向けに転がされて、逃げる術を無くした忍は時折堪えきれなくなったように、熱に浮かされた喘ぎを漏らした。
突起の周りを舌先で蹂躙し、急所に触れるぎりぎりを刺激してから、鋭く的を突いてくる。
それだけで背中を仰け反らせて、まるでせがんでいる様になってしまった事に深い自己嫌悪に苛まれた。
そんな忍を見て、細く笑む薩摩の顔が、それに応えるように、しつこくそこを可愛がってくれるのだ。

ああ、これは本格的に意識が逝かれている。
彼もこんな穏やかな顔が出来るのかと、一瞬でもそう思った自分が笑えた。

「くぅ…っ!!あ…う…っ!!じゃ、らじゃらする(ふざける)のも大概にしなはれ…っ!!男の胸しゃぶって、あんたおっ立つんかいな…っ!!」
「安心しろ。俺の息子は元気に意気立っている」

「!!」

強引に忍の手を取り、それを薩摩は自分の根へ触れさせた。
生き物のようにどくどくと息づいている気配と、『Pandra』で触らせられたあの男の比ではない大きさに、思わず怯んでしまうほど。

「―――だがなぁ、今の状態で『これ』入れちまって、てめぇが使いモンにならなくなっちまうのは面白くねぇ。痛い目合いたくなけりゃ、大人しく啼いてな」

俺がじっくり慣らしてやる。
薩摩が冗談でも言うように、潜んだ笑みを浮かべた。
熱いほどのそれに、忍が怖気づいたように手を引っ張った。
信じられないと、純粋に驚愕する忍の様子を見て、薩摩は「そういう事だ」などと呟いて、再び頭を胸元へ埋める。

「な…ぁう!!」

胸を潰され、捏ね回される屈辱。
それ以上に、あの大きな『ぶつ』を彼が本気でこの体に埋め込もうと下準備をしている事に、大きな危機感が忍を襲う。
背徳とも言える行為を、男にされる苦痛。
忍は心を裏切る体を心底呪った。
薩摩は快楽に染まっていく忍を見るのが思いのほか深みに嵌ったようだ。
時折抵抗を見せる忍の両手をいとも簡単に片手で纏め、時間を掛けながら忍の体に跡と快楽の余韻を残していく。
特に反応を見せる場所には念入りに、舌先と指を使って吸い付いてくる忍の肌を楽しんだ。

既に忍の息は絶え絶えだった。
下半身が、正直痛い。

―――なんて屈辱

このまま眼を瞑って、何もかもを閉ざしてしまいたい。
薩摩が紐が既に解けている袴を瞬く間に下ろし、中で整えられている着物などを乱しながら何かを探している。

何を探しているなど、そんな事は今更だ。

「な、に…を…っ!!」
「なにって…『なに』だろうよ」

忍の形相が強張った。
恐怖の色が濃く、滲み出てきたのだ。

―――やめぇいっ!!

喉の奥でそれは大きな嬌声へと変わった。
それも忍が自分のものだと一瞬分からなかったぐらい、艶ややかで甲高い一声だった。

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