6:嫌

「君とははじめまして、ではないのう」

「なんだ、島長自ら登場か?」


私はこの島の長である老人に鼻で笑うように言った。

そんな私を老人は悲しそうな表情で私を見てくる。


気色が悪いからやめてほしい。


「ありがとう、ルフィ君。確かに彼女は私の孫だろう。死んだ私の娘にそっくりじゃよ」

「なんだ、じいちゃんの孫なのか、おめェ」


邪気なく驚く麦わらを私は睨みつけた。


「私をこんな男の孫などと言うな。そんなことより、私の母はどこだ?」

「君の母親は君を生んですぐに殺され、亡くなっておる」

「違う、そいつじゃない!」


私の島長への返答に、悲しそうに息を吐いてから島長は答える。


「・・・あの女海賊ならば、海軍に引き渡された。いずれ処刑されるじゃろう。」

「なんだと・・・」


島長の言葉に私は立とうとした。
すぐに、母を追わなければ・・・。


「大丈夫。そんなに急がなくても君はすぐに母親に会える。君もこれから海軍に引き渡されるからのう」


その言葉に、海賊たちから驚きの声が上がった。

うるさくて私はそれに顔をしかめる。


「おじいさん、どういう事!?」

「自分の孫じゃねえのかよ!?」


オレンジ髪の女と鼻の長い男が島長に詰め寄った。
しかし、島長は仕方がないと言うように小さく首を振る。


「彼女は罪を犯しすぎてしまった。決して許されることではあるまい」


遺憾だというように言う島長に私は、その言葉に思わず笑った。

私がたくさんの罪を犯した事は認める。

けれど、それをこいつが言うなんて。

笑止とはこの事だな。


「なら、お前たちは何も罪を犯していないとでも?」


私のその言葉に島長は黙り込む。


「おい、どういう事だよ」


長鼻が私に問うが私は答えるつもりなんてない。

知る必要などない事で、私も話したい事ではない。



「世界は汚いって事だよ」


私はそれだけ答えた。

[ 7/13 ]

[*prev] [next#]