4:落
「それって、でも島長のおじいさんは孫は殺されたって言っていたわ。それに彼は男じゃない!」
「こいつは女だよ」
オレンジ髪の女の言葉に母はニヤリと笑うと、私の服の前を破いた。
それにより私のサラシが露わになり海賊に晒される。
・・・・すごく、屈辱だ。
「なんだ?胸ねェじゃねえか。」
「女がみんな巨乳だと思うな!!」
私の胸を見て首を傾げて言う麦わら帽子のあんまりな発言に、私は思わず声を上げた。
確かに私の胸は慎ましやかだ。
だけど、存在はしているだろうがコノヤロウ。
思わず怒鳴ったせいで首を掴まれている私は余計に苦しくなった。
思わずうめき声が出る。
「確かに・・・女だって事は分かったわ。でも、彼女が島長の孫だって証拠はあるの?」
「それは残念ながら無いわね。でもいいの?この子、悪魔の実の能力者だから、ほら。」
余裕ができたらしい母はニヤっと残酷な笑みをつくると、私を海の上へと掲げた。
「下には凶暴な海王類もいるから海に落ちたらこの子確実に死んじゃうわよ。もし私の言う事が本当だったら、貴方たちは島長の孫を殺すことになる。」
「・・・どうするルフィ。確かに彼女、写真で見た島長の死んだ娘さんに似ているように思えるけど。」
母は歌うように言い、オレンジ髪の女は困惑した声を上げた。
母の言うことは本当なのだろうか?
きっと、いつものように嘘だ。
…私が彼女の子供ではないなど。
「さあ、分かったらさっさと道をあけ「ならさっさとそいつを落としゃあいいじゃねェか」」
「ゾロ!?」
逃げた私を追いかけて来たのだろう。
ゾロという名前らしい緑色の髪の男がいつの間に甲板にいて、彼の発言に驚いたオレンジ髪の女が驚きの声を上げていた。
「何言ってんだい、この緑は。この女は島長の娘なんだよ?良いのかい、死んじまっても。」
「構わねえよ。どちらにしろその女が今は敵だという事に変わりねェからな」
ゾロはニヤリと笑い腰に差していた刀を抜いた。
そして獲物に狙いを定めるような鈍く光る目で母を突き刺す。
「敵は斬るまでだ。」
男はそう言って母へ向かい走ったので、驚いた母は私の首から手を離した。
私の体が宙へと浮かび重力に従って海に落ちる。
私は海へと視線を移した。
そこには口を大きく開けた鰐や鮫のような獣が私が落ちるのを待っていた。
普段ならこれくらいの獣は倒せただろう。
けれど母に首を掴まれて呼吸が上手くできずにいたので、私の意識はもう限界だった。
ここで死ぬのか。
と思った時。
私は誰かに空中で腰を掴まれた。
横に視線を移すとそれはゾロと呼ばれていた男だった。
彼は空中で刀を獣へと構えると、落ちる速度を利用して獣を切り裂いた。
なにがしたいんだこの男は。
私達は敵だろう?
男に抱かれ海に沈むとともに、私の意識は闇へと溶けて行った。
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