10:光
「本当に次の島で降りるの?」
「ああ。ありがとう。私を船に乗せてくれて」
私は彼らに次の島に着いたら降ろしてもらうように頼んだ。
彼らの次の目的地はウォーターセブンという世界的に有名な造船場のある島らしい。
私はそこから逃亡の旅をしようと思った。
罪を償えと人は言うかもしれないが、あの島のために罪を負うなど気にくわないし。
申し訳がないが私はまだ生きたかった。
そのように頼むと、船長であるルフィは快く応じてくれた。
「本当になんなんだよ。朝起きたらいきなり性格変わったぞ」
「フフ、良かったじゃない元気になったようで」
当たり前の事だが突然の変わりようにウソップはなにやら警戒している。
けれどロビンは私の心変わりの理由を知っているかのように受け入れ、大人の女性といった感じにその変化に笑んだ。
他の人たちもそれぞれ思うところがあるようだが、船長だけはまったく変化なく太陽のように笑っている。
私はそんなルフィの元に自分から近づいた。
「麦わら。私の実の力が知りたいと言ったな」
「おう!教えてくれるのか?」
「知りたいのなら教えてやる。私は」
言葉と共に私は能力を使った。
私の体が獣へと変化する。
「私はウサウサの実のウサギ人間だ」
私の姿が獣化により小さなウサギとなったため、周りが一気に高くなる。
私は人に見下ろされるのがあまり好きではない。いやすごく好きではない。
ので、獣の姿は落ち着かない。
別に踏みつぶされそうだから怖いとか、至ってそういう訳ではない。
「きゃーーっかわいい!!」
私の姿を見て、そう黄色い声を上げたナミに私はムギュっと抱きしめられた。
自分にはない大きな胸に顔が埋まりちょっとくるしい。胸に殺される。
「おまえやっぱ面白えな!よしっシーア、俺の仲間になれ!!」
そんな抱きしめられる私にルフィが言った言葉で、船員からは大きな驚きの声が上がった。
獣化状態での大きな声は少しきつい。
「いや、それは断る」
私は即答した。
けど、その誘いは少し嬉しくて私は驚いたあと、緩んでしまう顔をおさえる事はできなかった。
END
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