雨模様 | ナノ
第2話

世間じゃ難関だって言われてるハンター試験。どんなものかと思って暇潰しに受けてみたけどどうやら大したことはなさそうだ。皆見た目だけはやけにごついけどそういうやつに限って弱かったりするんだよな。

「!?」

そんなことを考えながら会場内を歩いていたらいつの間にかかなり近くまで謎の黒い塊が迫っていて危うく声を上げそうになった。なんだこれ?気配がなさすぎて気がつかなかったけど人…なのか?性別どころか人間かどうかすら危うい謎の黒い塊。見ようによってはゴミ袋にも見える。こんなところにゴミ…?管理テキトーすぎねぇ?と呆れながら眺めているとゴミ袋が僅かに動いた。

その拍子に腕や足が見えてこの物体が真っ黒な衣服に身を包んでいるだけの人間だということに気がつく。人間にしては気配なさすぎだろ。なんか気味悪いし、放っておくか。

「よっ、オレはトンパ。よろしく。君この試験初めてだよね?わからないことは何でも教えてあげるよ!これはお近づきの印だ」

ゴミ袋もどきを避けて歩き始めた途端、見るからに弱そーなオッサンに声を掛けられる。明らかに何か入ってそうなジュースを勧められ、あまりの分かりやすさに笑ってしまいそうになった。何が入ってたってオレには関係ないんだよなぁ。ま、ちょうど喉も乾いてたし有難くもらっておこう。

「さんきゅー、ノド渇いてたから助かった」

「……役に立てて良かったよ」

手渡されたそれを一気に飲み干し空き缶を手渡すとオッサンは小さく口角を上げながらそう言った。あほくさ。こんなバレバレな手に引っ掛かるやついんのかよ。




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