雨模様 | ナノ
第30話
ゴン対ハンゾー戦はゴンの勝利。クラピカ対ヒソカ戦はクラピカの勝利で終わった。しばらく戦ったあとにヒソカが自分の負けを宣言したのだ。変態の考えることってホントわかんねー。
「次、キルアだ。相手…誰?」
「あの変な帽子被ってるやつ」
「…良かった。勝てそう…」
相手を見ただけで即答するハルに思わず吹き出した。言葉数が少ない分、ハルの言葉は真っ直ぐで容赦がない。そこが面白いんだけど。
「だろ?あいつと戦っても面白くなさそうだから棄権しようと思って」
「え…戦った方がいい…」
「いーんだよ。別にハンターになりたいわけじゃねーしさ」
ハルは何か言いたげな顔をしていたけど結局何も言わなかった。宣言通り試合を放棄してハルの元に戻るとハルはなんと声を掛けて良いのかわからないのか真顔のまま頷いた。
次の試合はオッサン同士の戦いのはずだったんだけど先にオレと301番の試合を行うことになった。レオリオが191番がヒソカ戦で負った怪我を理由に延期を要求したからだ。
「キルアの相手…顔に針刺さってる」
「趣味悪いよなー。どーする?オレがあんななっちゃったら」
「…………元に戻す方法を、全力で探しだす。絶対にキルアを元に戻してみせる」
思った以上に重い使命を背負わせてしまった。からかい甲斐あるけど冗談通じねーんだよなぁ。
それでもハルはかなり変わったと思う。よく喋るようになったし、感情表現も豊かになった。吃ったり詰まったりすることもあるけどオレと話すときは大分淀みなく話せるようになったと思う。これってオレに心開いてくれてるって考えて良いんだよな…?
「じゃ行って来る」
「うん。頑張れ…じゃない。やっちまえ…だ」
ハルは拳を前に突き出して、少しだけ笑った。まだ覚えてんのかよーと笑いながら拳を合わせると視界の端にニヤニヤ笑いながらこっちを見ているオッサンが映った。あーやなもん見た。
「第6試合!キルア対ギタラクル!始め!」
ギタラクルの顔中に刺さっている針は何もしなくてもカタカタと音を立てていてかなり不気味だった。今まで出会ったことのない容姿の敵。まずは相手を観察することに専念していると、ふと視線があった。
「久しぶりだねキル」
「!?」
ボキボキと嫌な音を鳴らしながらギタラクルの顔が変形していく。変形が終わり元に戻ったギタラクルの姿はどう見ても…
「兄…貴!」
思いもよらぬ事態に頭が真っ白になる。続いてやっぱりハルの言う通りあいつと戦っときゃ良かったなーなんて今更悔やんでもどうにもならない考えが一瞬頭を過った。あーもー最悪。
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